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O 型と M 型は性格が違う? 薄毛にまつわる新知識【前編】

2021.11.15

監修・対談者紹介

佐藤明男

佐藤明男
東京メモリアルクリニック理事長

さとう美容クリニック院長, 北里大学医学部客員教授, 日本形成外科学会専攻医, 日本臨床毛髪学会理事, 日本先進医師会特定認定再生医療委員会委員長, SKIファーマ株式会社副社長
頭髪に関する内科治療と外科治療まで幅広く実践し、毛髪研究、教育も積極的に行っている。

薄毛治療のオピニオンリーダー佐藤明男先生に薄毛についての知識をお聞きする当連載。第4回・第5回は、薄毛にまつわる新知識をお届けします。前編にあたる今回は、薄毛の豆知識。古代から人々が薄毛とどう向き合ってきたのかなどをお聞きします。

薄毛は古代から関心の的だった!頭髪の健康をよく考えるために役立つ薄毛の豆知識

Answer編集部:今回は薄毛にまつわる豆知識ということで、古代から人々は薄毛についてどのように考えてきたのかをお聞きしたいと思います。

佐藤:記録に残っているだけでも、紀元前の古代エジプトや古代ギリシアでも、すでに薄毛の研究はされていたんですよ。

Answer編集部:そんなに昔から!?

佐藤:そうです。男性型脱毛症(AGA)は、男性ホルモンのテストステロンが悪玉男性ホルモンのジヒドロテストステロン(DHT)に変換されて毛周期が短縮化することで起こるんですが、古代ギリシアの医師ヒポクラテスは薄毛と男性ホルモンの関与について、そんな大昔に感づいていたんですよ。

Answer編集部:すごいですね!昔からの英知が今につながっているんですね。

佐藤:たとえば、古代ローマの英雄のジュリアス・シーザー。彼の彫像の多くが月桂樹の冠をかぶっているでしょう。あの月桂冠は勝利や栄誉を表すものですが、じつはシーザーは薄毛を隠すために、人前に出る時には必ず着けていたといわれています。現在のウィッグのように月桂冠を使っていたわけです。

Answer編集部東:まさかあの月桂冠にそんな裏事情があったとは!英雄も髪の悩みを抱えていたんですね。人々に威厳を見せつけられて、そのうえ薄毛を隠せるのなら一挙両得ですよね。

佐藤:さらに遡って原始時代には、薄毛の男性は女性からすごくモテていたんですよ。薄毛の人は、男性ホルモンの影響で体格的にも性格的にも男らしい人が多く、知能も高い。狩猟が中心だった原始時代に、生き残っていけるタイプです。

Answer編集部:サバイバル能力に優れていそうです。この人なら自分や子どもを外敵や食糧難から守ってくれる!と女性は感じますよね。

佐藤:現代では薄毛を悲観的にとらえる男性も多いようですが、優れている証だともいえるわけです。そういう豆知識をお伝えしていきましょう。

髪にまつわる古代の知恵や進化の過程を知ろう

佐藤:古代から人類は髪や薄毛について深い関心をもっていました。あれこれと研究を重ね、試行錯誤し、現在の最新毛髪医療にまでつながっています。昔の人々が薄毛にどのように髪と向き合ってきたのか、歴史や進化の過程を紐解いてみましょう。

古代エジプト、古代ギリシアでされた薄毛の研究とは?

佐藤:紀元前15世紀の古代エジプトで書かれた世界最古の医学書『エーベルスパピルス』には、なんと薄毛を治す治療法が記されていました。その内容は、ライオン、ネコ、ヤギ、ヘビ、ワニ、カバの脂をすべて混ぜ合わせて、薄毛の人の頭皮にすり込むというものです。

また、それよりさらに遡る古代エジプト第三王朝時代の古文書にも、発毛薬の処方が記録されていて、大昔から薄毛対策の研究に人々が関心を持っていたことがわかります。

さらに、古代ギリシアの医師で哲学者だったヒポクラテスは、「宦官には通風と薄毛がいない」と記しています。宦官とは、宮廷で働く睾丸を去勢した男性のことです。睾丸がない男性に薄毛がいないということは、薄毛と男性ホルモンとの関係についてヒポクラテスが見抜いていたといえるでしょう。

古代ギリシアでは、その後に哲学者のアリストテレスが「男性は髪が薄くなるが、女性は薄くならない」ことを記していて、同じく薄毛への男性ホルモンの関与を暗示しています。

最新の発毛成分はネイティブ・アメリカンがすでに使っていた!

佐藤:ネイティブ・アメリカンたちは、古来、「ノコギリヤシ」と呼ばれる植物を使った強壮剤を愛用していました。

じつは、このノコギリヤシに含まれる成分は、前立腺肥大を防ぐほか、AGAの原因となる悪玉男性ホルモンのDHTの働きを抑える効果があります。現在、AGA治療薬として使われている「フィナステリド」は、このノコギリヤシの抽出物を化学合成した薬剤なのです。

ネイティブ・アメリカンたちは、最新の発毛成分を昔からの知恵で使っていたというわけです。ネイティブ・アメリカンたちに、艶々とした豊かな髪の人が多いのも頷けます。

O字タイプとM字タイプは頭の働きが違う!?

佐藤:これは私の仮説ですが、額の生え際がM字型に後退している「M字タイプの薄毛」の人と、頭頂部付近を中心に薄毛になっている「O字タイプ」の薄毛の人は、以下のように脳の発達している部分が違うのではないと推測しています。

M字タイプ→前頭葉が発達している

大脳の前部にある前頭葉は、人間の感情や思考、知性などの精神的な高次機能を司っている

O字タイプ→側頭葉が発達している

大脳の側面、目の後ろ辺りから耳の後ろぐらいまでの範囲にある側頭葉は、聴覚や言語、記憶などを担っている

そもそも薄毛の男性はテストステロンの量が通常よりも多いのですが、このテストステロンが大脳皮質にあるグリア細胞を刺激し、大脳皮質の発達を促すことが知られています。

そのため薄毛の人の大脳は大きい傾向があり、知能が高い人が多いのです。しかし、頭皮に映える髪の本数には限りがあります。頭部の面積が増えれば毛髪の密度が低くなり、薄毛になるのではないかと推測したのです。

また、M字タイプとO字タイプでは、それぞれ発達した大脳の部分の皮膚が引き伸ばされるので、その部分から薄毛になりやすいのではというのが私の仮説です。あくまでも個人的な推論ですが、この説をもとに薄毛の人の素質や傾向を観察してみると興味深いかもしれません。

原始時代は薄毛の男性がモテモテだった!?

佐藤:原始時代には、薄毛の男性が女性から大変モテていました。

前述したように、薄毛の男性はテストステロンの量が通常よりも多いのです。テストステロンは、男性ホルモンのなかでも筋肉や骨格を発達させ、がっちりした体つきをつくります。また、テストステロンの多い男性は、生きるエネルギーに満ちています。統率力があり、闘争心や支配欲が強い傾向が見られます。

狩猟が中心だった原始時代、筋骨隆々でリーダーシップのある薄毛の男性は、当然ながらボス的な存在になります。厳しい生活環境で生存率が低かった原始時代、女性たちが守ってくれそうな男性に惹かれるは生存本能として当然だったのです。

南の国の人たちより、北の国の人たちのほうが薄毛率は高い!?

佐藤:欧米には薄毛の人が多いのに、アフリカには薄毛の人が比較的少ないということが知られています。これには住んでいる土地の日照時間や紫外線の強さが関係しているのではないかと考えられます。

そもそも頭部に髪の毛があるのは、頭皮が有害な紫外線から晒されるのを守るためです。北に位置する国に住む人たちは日照時間が少なく、紫外線量も少ない環境ですから、太陽光から頭皮を守る頭髪の必要性が低いのです。進化の過程の薄毛の人が増えたとしても不思議ではありません。

一方で、南に位置する国に住む人たちは強い太陽光を直接受ける時間が長いため、頭髪によって紫外線から頭皮を守り、頭部の温度を下げる必要があります。進化の過程で薄毛の人が少なくなっていったと推測できるのです。

Answer編集部:大昔から人々は髪への関心がとても強かったんですね。古代ギリシアの時代に薄毛と男性ホルモンの関係に気づいていたり、ネイティブ・アメリカンの人たちが薄毛に有効な成分を古くから使用していたり、現在に通用する研究や対策がされていたことにも驚きました。

佐藤:髪の問題はそれだけ真剣に考えられてきたのだということです。そのおかげで現在の毛髪医療があるともいえますね。

Answer編集部:とても興味深かったです。次回は、薄毛にまつわる新知識の後編です。薄毛についての都市伝説を佐藤先生に一刀両断してもらいます。

薄毛は隔世遺伝?ワカメで毛が生える?都市伝説を専門家が一刀両断!! 薄毛にまつわる新知識【後編】

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