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抜け毛の原因はストレス?抜け毛の特徴を知って脱毛を予防しよう

2023.02.28

監修者紹介

佐藤明男

佐藤明男
東京メモリアルクリニック理事長

さとう美容クリニック院長, 北里大学医学部客員教授, 日本形成外科学会専攻医, 日本臨床毛髪学会理事, 日本先進医師会特定認定再生医療委員会委員長, SKIファーマ株式会社副社長
頭髪に関する内科治療と外科治療まで幅広く実践し、毛髪研究、教育も積極的に行っている。

「ストレスで髪が抜ける」というのは本当です。抜け毛が増えてきたら、ストレスが原因かもしれません。

本記事ではストレスと抜け毛の関係性や、ストレスで起きる脱毛の種類、自然な脱毛と異常な脱毛の見分け方について解説します

またストレスによる抜け毛を予防するための対策もあわせて紹介します。抜け毛を放っておくのは危険です。自分の抜け毛がストレス由来のものではないかと心配な方は、今のうちにチェックしておきましょう。

ストレスと抜け毛の関係について

(出典:(1)疲労とストレス)

ストレスは抜け毛を引き起こす大きな原因の一つです。日常的に強いストレスを感じていると、自律神経のバランスが乱れがちになります。自律神経の乱れは全身の血流を悪化させ、頭皮の血行不良につながります。

頭皮の血行が悪くなると、髪の毛に必要な栄養素が行き届かなくなって、髪の毛が抜け落ちやすくなってしまうのです。

またストレスは睡眠不足食欲不振なども引き起こし、髪の毛の健康に良くない環境を作り出します。

ストレスはさまざまな側面から抜け毛を増やす要因になってしまうと言えるでしょう。

抜け毛にも種類がある

自然脱毛

(出典:(2)ヘアケアの科学)

毎日ある程度の髪の毛が抜けるのは自然なことです。髪の毛は一定周期で生えたり抜けたりを繰り返しており、これを「自然脱毛」と言います

一般的な髪の毛は2~6年ほどの成長期を経てから成長が止まり、やがて毛穴から自然と抜け落ちていきます。

自然脱毛の数に個人差はありますが、平均的な人で1日に50~100本程度です。

異常脱毛

(出典:(3)毛と毛包の解剖・毛髪異常(AGA))

自然脱毛とは異なり、本来の周期よりも早く髪の毛が抜け落ちてしまうのが「異常脱毛」です。異常脱毛ではさまざまな要因によって髪の毛の成長期が異常に短くなり、十分に育ちきる前に髪の成長が止まってしまいます。

細く弱々しい髪の毛になり、本来よりも早く抜け落ちるようになってしまうのです。

異常脱毛の見分け方

毛根の色と形

(出典:(4)日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017年版,(5)ヘアケアの科学)

自然脱毛の場合、毛根はマッチ棒の先のようにぷっくりと膨らんでいます。また毛根の色は根元の方が少し白っぽくなっていることが多いです。

異常脱毛の場合は毛根が膨らんでいなかったり、形が尖っていたり、しっぽのようなものが出ていたりと、健康な毛根とは違った形をしています

また色が全体的に黒い、もしくは白くてベタベタしている場合も、異常脱毛の可能性があります。

抜け毛の太さと長さ

(出典:(6)男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版)

自然脱毛であれば十分に成長しきった後で抜け落ちるので、ある程度の太さと長さがあるのが一般的です。しかし異常脱毛するような髪の毛は、細くて弱々しく、長さも短いままで抜け落ちることが多いです

寝起きなどに枕元に落ちている髪の毛を集めて、どのくらいの太さや長さの髪が抜けているのかを一度チェックしてみましょう。

抜け毛の本数

抜け毛の本数も異常脱毛を見分ける上で参考になります。1日に自然に抜け落ちる髪の毛の数は多くても100本程度です。

抜け毛の数は季節や体調によっても上下しますが、もし抜け毛の数が200本を超えるようであれば、異常脱毛を疑ってみる必要があります

抜け毛の7~8割程度はシャワーのときに抜けるので、気になる方は排水溝に溜まった髪の数を数えてみるとよいでしょう。

ストレスが原因の抜け毛の特徴

円形脱毛

(出典:(7)日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版)

円形脱毛症は髪がくっきりと円形に抜け落ちるタイプの抜け毛です。発症メカニズムが完全に解明されているわけではありませんが、ストレスが大きな原因となって起きると考えられています。

円形脱毛症では脱毛箇所の髪が完全に抜け落ち、十円玉くらいのサイズで地肌が露出することが多いです。脱毛が一箇所だけできることもあれば、複数できることもあり、重症化すると頭部全体が脱毛してしまうケースもあります。

円形脱毛症は年齢を問わず、大人から中高生まで幅広い年代に見られます。

休止期脱毛

(出典:(8)毛と毛包の解剖・毛髪異常(AGA))

休止期脱毛はヘアサイクルの乱れによって髪の毛が休止期に入り、抜け毛が起きる症状です。休止期はヘアサイクルの最終段階です。髪の成長が完全に止まって毛穴から抜け落ち、次の髪が生えてくるまでの期間を指します。

本来髪の毛は数年ほど成長期がつづきますが、何かしらの原因によって成長期の髪の毛が急に休止期に入ってしまうことがあるのです。

原因としては病気や薬の影響などの他に、強い精神的ストレスも引き金になると言われています。

AGA (男性型脱毛症)

(出典:(9)毛と毛包の解剖・毛髪異常(AGA))

AGAは男性に多いタイプの脱毛症で、男性ホルモンが原因で抜け毛が起こります。遺伝的な要因が大きく、ストレスが直接的な発症の原因となるケースは少ないとされていますが、ストレスによってAGAの症状がいっそう悪化する可能性は十分あります。

AGAは生え際や頭頂部などが局所的に薄くなるのが特徴です。後頭部や側頭部には髪が残ることが多いです。

一度発症すると薄毛部分が徐々に広がっていく進行性の脱毛症なので、早めの対策が必要になります。

ストレス発散による抜け毛の予防対策

生活習慣を見直す

(出典:(10)中村博範 「マウスのタンパク質栄養状態と体毛タンパク質合成の関係について」)

ストレスによる抜け毛を減らすためには、生活習慣の見直しが必要です。乱れた生活習慣は心身にストレスを与え、髪の毛にも悪影響を及ぼします

具体的には以下の点に気をつけましょう。

定期的なストレス発散
十分な睡眠時間
適度の運動習慣
規則正しい生活リズム
バランスの取れた食事
過度の飲酒や喫煙を避ける

意識的に生活習慣を整えることで、心身に負担のかかりにくい環境を作れます。自分なりのストレス発散方法を見つけて、ストレスを溜め込みすぎないことも大切です

健康的な生活を送っていれば丈夫な髪の毛が育ちやすくなり、抜け毛予防になります。

育毛剤を使用する

(出典:(11)男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版)

自宅でできる抜け毛対策としては、育毛剤の使用もおすすめです。育毛剤には頭皮環境を整える成分や、健康な髪の毛を育てるのに役立つ成分などが配合されています

製品によっては頭皮の血流を促進する成分が使われているものもあり、ストレスからくる抜け毛の予防にも効果が期待できます。

医薬品扱いの発毛剤と比べて、育毛剤は副作用が少なく手軽に取り入れられるのもポイントです。市販の育毛剤にはさまざまな種類があるため、自分の体質や症状に合った製品を選びましょう。

ストレスと抜け毛の関係についてまとめ

ストレスと抜け毛の関係性や、自然脱毛と異常脱毛の見分け方、抜け毛を予防する対策法などを解説しました。ストレスは見えないところで髪の成長に悪影響を及ぼし、抜け毛を増やす要因になります。

まずは自分の抜け毛が本当に異常なものなのかどうか、記事で紹介した見分け方に基づいてチェックしてみましょう。もし異常脱毛の疑いがあれば、生活習慣を改善するなどの対策を行ってください。

心身のストレスをできるだけ減らし、健康な髪の毛が生えてくる下地を整えましょう。

文献

1).バイオメカニズム学会誌/21 巻 (1997) 2 号
2).5).講座(シリーズ) “変わる”生活と消費科学 9
3).8).9).日本香粧品学会誌/42 巻 (2018) 2 号/ p. 93-97
4).7).日本皮膚科学会雑誌/127 巻 (2017) 13 号/書誌
6).11).日皮会誌:127(13),2763-2777,2017(平成 29) P.2763~277
10).川崎医療福祉学会誌 Vol. 22  No. 2 2013 200 − 207

監修者紹介

佐藤明男

佐藤明男
東京メモリアルクリニック理事長

■ プロフィール
1957年新潟県生まれ。北里大学医学部卒業。
1998年、厚生省(当時) 高度先進医療推進事業でオックスフォード大学医学部客員研究員として英国に国費留学し、帰国後、東京メモリアルクリニック・平山副院長を経て院長に就任。医療法人TMC理事長を兼任。これまで10,000人を超えるAGA(男性型脱毛症)患者を治療してきた実績を持つ、頭髪治療の第一人者。
■論文・出版情報
2007年 『医療的育毛革命』
2009年 『なぜグリーン車にはハゲが多いのか』

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