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禁煙したら抜け毛は減る?喫煙習慣が髪に与える影響を知っておこう

2023.03.31

監修者紹介

佐藤明男

佐藤明男
東京メモリアルクリニック理事長

さとう美容クリニック院長, 北里大学医学部客員教授, 日本形成外科学会専攻医, 日本臨床毛髪学会理事, 日本先進医師会特定認定再生医療委員会委員長, SKIファーマ株式会社副社長
頭髪に関する内科治療と外科治療まで幅広く実践し、毛髪研究、教育も積極的に行っている。

喫煙している人にとって「禁煙したら本当に抜け毛が減るのか?」は非常に気になるところだと思います。喫煙習慣は髪の毛に悪影響を及ぼし、抜け毛を悪化させるおそれがあります。

しかし一方で禁煙によってかえって抜け毛が増えてしまうケースもゼロではありません

本記事では喫煙が髪に悪い理由、禁煙と抜け毛対策の関係性について解説します。タバコと抜け毛との関係を正しく理解し、禁煙すべきかどうかも含めて、今後の抜け毛対策を考えていきましょう。

喫煙習慣が毛髪に悪影響を与える理由

血行不良

(出典:(1)禁煙科学 vol.9(06),2015.06)

喫煙が髪に悪いと言われる最大の要因は、タバコが血行不良を引き起こす点にあります。タバコに含まれるニコチンには血管を収縮させる作用があります。たとえば頭痛のときにタバコを吸うと痛みがひどくなったりするのも血管が収縮するためです。

頭皮の血行が悪くなると、髪の毛の成長に必要な栄養素が十分に行き渡らなくなります。結果的に髪が発育不全に陥り、細く抜けやすい状態になってしまうのです。

活性酸素の増加

(出典:(2)ホソカワミクロンが提唱する内外育毛ケア理論)

タバコの煙には活性酸素を作り出す物質が多く含まれています。

活性酸素は体内にある細胞を酸化させ、老化を早めてしまいます。髪の毛を作る細胞にも悪影響を及ぼし、その働きを衰えさせてしまうため、活性酸素の増加も薄毛や抜け毛の一因です。

悪玉コレステロールの増加

(出典:(3)小林 邦彦&岩田 久敬 「アミノ酸補足効果に関する研究 小麦粉に対するリジン,トレナニン,メチオニン,トリプトファンの強化」)

タバコを吸うと血中の悪玉コレステロールの量が増えます。するとそれを抑えるために必須アミノ酸の一種であるメチオニンが大量に消費されます。

髪の毛のケラチンタンパクは、さまざまな種類のアミノ酸が集まってできており、メチオニンも髪の毛を作るのに必要な材料の一つです。そのため喫煙すると髪に必要なアミノ酸が不足しやすくなり、薄毛や抜け毛の原因になるのです

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禁煙と抜け毛対策の関係とは

頭皮の血行がスムーズになる

(出典:(4)Ritsuko Ehama 「Infuluence of Scalp Problem on Physical Properties ofHair and Their Prevention by Plant Extracts」)

禁煙するとそれまでニコチンによって悪化していた頭皮の血流が改善します。頭皮の血行がよくなれば、髪に必要な栄養素がしっかり運ばれるようになり、丈夫で抜けにくい髪の毛が育ちやすくなります

頭皮の血行不良は薄毛や抜け毛の大きな原因の一つとされており、育毛剤などでも血行促進作用のある成分がよく使われているほどです。

禁煙して頭皮の血流が改善するだけでも、薄毛や抜け毛予防に非常に大きな効果が期待できます。

頭皮の乾燥が抑えられる

禁煙によって頭皮の乾燥が抑えられて、頭皮環境が改善することもあります

タバコに含まれる化学物質は皮膚にとっても有害です。「タバコはお肌に悪い」とよく言われるように、喫煙すると肌の質が悪くなって乾燥しやすくなります。

頭皮も肌の一部です。頭皮の水分量が低下すると、頭皮環境が悪化してフケ・かゆみ・炎症などの原因になります。禁煙することで頭皮の乾燥が抑えられれば、頭皮環境がよくなって健康な髪の毛が生えやすくなります。

男性ホルモンの増加を防げる

(出典:(5)毛と毛包の解剖・毛髪異常(AGA))

喫煙によって男性ホルモンが増加するという研究結果があります。男性ホルモンの増加はAGA (男性型脱毛症) を引き起こす原因です。AGAを発症すると抜け毛や薄毛が進行していきます。

喫煙の影響で男性ホルモンが増えていた場合、禁煙することで男性ホルモンの増加を食い止められ、抜け毛や薄毛が改善する可能性も考えられます

AGAは日本人男性にもっとも多いタイプの薄毛なので、気になる方は禁煙するか吸う量を減らす努力をしてみるとよいでしょう。

禁煙によるストレスが抜け毛につながることもある

(出典:(6)喫煙の血行器に及ぼす影響 : 第一報 禁煙後に於ける喫煙の血行器に及ぼす影響)

禁煙することが大きなストレスになる場合、かえって抜け毛を悪化させてしまう可能性も考えられます。タバコは髪の毛にとって「百害あって一利なし」であり、髪のことを考えると禁煙するにこしたことはありません。

しかしタバコが髪の毛に悪いのと同じくらい、ストレスも髪に悪影響を及ぼします。強いストレスを感じると自律神経のバランスに乱れが生じ、全身の血行不良につながります

頭皮の血行も悪くなって、髪の毛が栄養不足に陥ってしまい、結果的に抜け毛が増えてしまうのです。ニコチンには依存性があるため、いきなり完全にやめるとなると強いストレスがかかってしまうかもしれません。

禁煙が難しい場合は、少しずつ吸う量を減らしていきましょう

もし自分一人で禁煙するのが難しい場合は、禁煙外来などを利用するのも一つの選択です。

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禁煙と抜け毛のまとめ

喫煙と抜け毛との関係性や、禁煙した場合に得られるメリットなどを解説しました。髪に悪いとはわかっていても、なかなかやめられないのがタバコです。

しかし喫煙が髪の毛にマイナスに働くことは疑いようのない事実です。薄毛や抜け毛対策をするなら、少しでもその悪影響を減らす努力が必要になります。

その際には禁煙のストレスと上手に付き合うことも求められます。喫煙のデメリットをよく理解した上で、今後の抜け毛対策について考えていきましょう。

文献

1).禁煙科学 9巻(2015)-06 P.1~P.14
2).粉砕/61 巻 (2018)/書誌
3).栄養と食糧
4).J. Son. Cosmet. Chem. Jpn. 52(1) : 16-23
5).日本香粧品学会誌/42 巻 (2018) 2 号/ p. 93-97
6).日本循環器病學/2巻 (1936) 3号/ 書誌

監修者紹介

佐藤明男

佐藤明男
東京メモリアルクリニック理事長

■ プロフィール
1957年新潟県生まれ。北里大学医学部卒業。
1998年、厚生省(当時) 高度先進医療推進事業でオックスフォード大学医学部客員研究員として英国に国費留学し、帰国後、東京メモリアルクリニック・平山副院長を経て院長に就任。医療法人TMC理事長を兼任。これまで10,000人を超えるAGA(男性型脱毛症)患者を治療してきた実績を持つ、頭髪治療の第一人者。
■論文・出版情報
2007年 『医療的育毛革命』
2009年 『なぜグリーン車にはハゲが多いのか』

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