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髪が異常に抜ける原因とは?正常・異常な抜け毛の見分け方や原因、対処法を解説!

2024.01.24

監修者紹介

佐藤明男

佐藤明男
東京メモリアルクリニック理事長

さとう美容クリニック院長, 北里大学医学部客員教授, 日本形成外科学会専攻医, 日本臨床毛髪学会理事, 日本先進医師会特定認定再生医療委員会委員長, SKIファーマ株式会社副社長
頭髪に関する内科治療と外科治療まで幅広く実践し、毛髪研究、教育も積極的に行っている。

「排水溝に髪が溜まりやすくなった」「朝起きたら枕に大量の髪が落ちていた」など、抜け毛の多さを気にする人もいるのではないでしょうか。

抜け毛が異常に多い場合、なんらかのトラブルが起こっている恐れがあります。抜け毛の原因をしっかり理解し、再発させないような対策をとるのが重要です。

この記事では、髪が異常に抜ける原因と対策方法や抜け毛の種類、抜け毛が起きる時期・タイミングなどを解説します。抜け毛について理解を深めたい人は、ぜひ最後まで読んで問題の解決に役立ててみてください。

抜け毛が正常かどうかの見分け方

頭皮や毛髪にトラブルが起こると、抜け毛の本数や毛根の形・色に変化が見られる場合があります。セルフチェックをする際には、下記の5つに注目しましょう。

正常な抜け毛の本数

(出典:(1)ヘアケアの科学)

(出典:(2)男性型脱毛症と育毛有効成分)

一日に抜ける髪が50〜100本程度であれば、正常なヘアサイクルの範囲内で起こる自然脱毛と考えられます。自然脱毛は誰にでも起きる現象なので、とくに心配する必要はありません。

毛髪はある程度成長した後、自然に抜け落ち、新しい髪が再び生えてくるサイクルを繰り返しています。このサイクルを、へアサイクル (毛周期) と呼びます。

髪が育つ「成長期」、成長が緩やかになる「移行期 (中間期・退行期) 」、抜け落ちる「休止期」から成り立っているのが、正常なヘアサイクルです。

ヘアサイクル 特徴 期間
成長期 髪が育つ時期 2~6年
移行期 (中間期・退行期) 髪の成長が緩やかになる時期 約3週間
休止期 髪が抜け落ちる時期 約3ヶ月

正常なヘアサイクルでは、自然脱毛があったとしても新しい毛が自然に生えてきます。たとえ休止期にさしかかったとしてもすぐには脱落せず、新しい毛の形成が始まってから古い毛が抜け落ちる仕組みになっているためです。

異常な抜け毛の本数

(出典:(3)男性型脱毛症と育毛有効成分)

前述の「自然脱毛」と異常な抜け毛を見分けるのは容易ではありません。しかし目安として、一日に100本よりはるかに多く髪が抜けているなら、「異常脱毛」であるといえるでしょう

異常脱毛とはなんらかの理由でヘアサイクルが正常に機能しなくなった結果、引き起こされる抜け毛です。ヘアサイクルが乱れると、正常な状態よりも早く退行期・休止期に入り、より多くの髪が抜けてしまいます。

「以前と比べて抜け毛が明らかに多くなった」「お風呂の排水口に髪が溜まりやすくなった」「朝起きたときに枕に多量の髪が落ちていた」などの変化がある場合も、異常脱毛の可能性が疑われます。

毛根の形に注目

(出典:(4)男性型脱毛症治療薬の研究動向)
(出典:(5)養毛・育毛剤の評価法 -人における新評価法-)

抜け毛の毛根が小さく形がいびつな場合は注意が必要です

自然に抜けた髪の毛根は楕円形で、ふっくらと丸みを帯びています。一方でなんらかの異常により抜けた髪は成長しきれていないため、毛根が小さかったり、形がいびつだったりします。

抜け毛が異常に増えている人は本数だけでなく毛根の大きさ・形にも注目してみましょう。

毛根の色は白いか

(出典:(6)ヘアケアの科学)
(出典:(7)毛と毛包の解剖・毛髪異常(AGA))

自然脱毛した毛の毛根は白くふくらんでいて、毛先にいくにつれて黒くなっているのが特徴です。毛根が黒くて白い部分が無い場合は、異常脱毛を引き起こしている恐れがあります。

なお抜け毛の毛根をよく見ると、白い塊が付着していることがあります。これは毛根鞘 (もうこんしょう)または皮脂のどちらかです。どちらも自然な現象によって発生する物質なので、大量に付着していない限りは、それほど心配する必要はありません。

髪の太さに注目

(出典:(8)男性型脱毛症治療薬の研究動向)

(出典:(9)頭髪横断面にみられる年令差と性差について)

「以前よりも髪が細くなった」「以前よりもボリュームが減った」などの変化が感じられる場合、異常脱毛の恐れがあります。髪が細くなる原因は複数考えられますが、AGA (男性型脱毛症) が原因の異常脱毛でも髪が細くなります。

なお日本人男性の髪の太さ (毛径) は0.08〜0.1mmほどです。

生まれたばかりの赤ちゃんの髪の太さは0.084mmほどですが、身体の発育とともに髪も太くなり、18〜20歳で太さがピーク (約0.118mm) に達します。その後は徐々に細くなっていき、70歳以上では0.08mmほどといわれています。

1mm以下の差異を目視で確認するのは難しいですが、医学的所見のひとつとして参考にしてください。

抜け毛が起きる時期やタイミング

(出典:(10)養毛・育毛剤の評価法)
(出典:(11)疲労とストレス)
(出典:(12)内陸盆地の気候ストレス情報とその生理学的検証)

抜け毛の本数は一年を通して一定ではなく、季節や時期によって変動します。抜け毛が増えるといわれている時期は、秋や春です

明確な理由はわかっていませんが、秋や春に抜け毛が多くなるのはストレスなどで自律神経が乱れやすいからであるといわれています。とくに秋は一日の気温差が大きく、自律神経が不安定になりやすいです。

自律神経の乱れは血流の悪化をまねき、髪に必要な栄養が頭皮まで行き渡りにくくなる恐れがあります。

また一日の中で抜け毛が起きやすいタイミングは入浴時です。髪を洗う際に髪をこすったり引っ張ったりしてしまうため、抜け毛が多くなりやすく目立ちやすいと考えられます。

そのため秋や春の時期、入浴時に抜け毛が多くなってしまうのは仕方がありません。抜け毛を気にするあまりストレスが溜まってしまっては本末転倒です。

異常に髪が抜けるときに考えられる原因

異常に髪が抜ける場合は、対策・予防するよりも先に原因を知るのが重要です。異常に髪が抜けるときに考えられる原因を紹介します。

栄養バランスの偏り
過度なストレス
過度なシャンプー
間違ったヘアケア
食生活の乱れ
睡眠不足・睡眠の質の低下
運動不足
過度なアルコールの摂取
喫煙
紫外線
加齢

栄養バランスの偏り

(出典:(13)たんぱく質)

出典:(14)頭髪外来における内服・外用による男女の発毛治療)

出典:(15)亜鉛欠乏と慢性肝疾患)

食事から取り入れる栄養のバランスが偏ると、抜け毛が増える恐れがあります。栄養バランスが偏り、特定の栄養素が不足すると、育毛に必要な栄養が髪に行き届きにくくなるためです。結果的に抜け毛が起こりやすく、毛量を維持するのが難しくなります。

頭皮や髪の健康には多数の栄養素が関わっており、とくに注意が必要なのは、たんぱく質 (アミノ酸) ・亜鉛・ビタミンの不足です。

髪の毛の主原料はケラチンというタンパク質であり、アミノ酸と亜鉛から生成されます。またビタミンは他の栄養素と組み合わせることで、さまざまな効果を発揮します。たとえばビタミンCは、亜鉛の吸収を促進する栄養素です。

ただしこれらの栄養素を多く摂れば摂るほど髪が増えるわけではありません。栄養素の不足だけでなく、取り過ぎにも注意が必要です。

なお栄養の過不足が生じる主因として考えられるのは、食生活の乱れです。食生活の乱れについては後述します。

過度なストレス

(出典:(16)ストレスによる血中カテコールアミン遊離・分泌の中枢性調節機構)
(出典:(17)血管迷走神経反射におけるアドレナリンの脳血流に及ぼす影響)

髪が異常に抜けてしまう原因のひとつは、過度なストレスです。

人間はストレスを感じると交感神経が優位に働き、アドレナリンの分泌量が増加します。

過度なストレスによって過剰にアドレナリンが分泌されると、血管が収縮した状態が長く続き、頭皮の血行が悪くなります

その結果、髪の成長に必要な栄養が頭皮に行き渡りにくくなってしまうのです。

過度なシャンプー

(出典:(18)低刺激性プロトタイプシャンプーの頭部皮膚疾患患者における使用評価
—頭部皮膚疾患患者を対象とした臨床試験—)
(出典:(19)皮膚バリアの基礎知見 Up-to-Date)

過度なシャンプーも異常に髪が抜けてしまう原因のひとつです。

髪や頭皮をゴシゴシと強く洗いすぎたり、一日に何度もシャンプーをしたりすると必要以上に皮脂を取りすぎてしまい、頭皮のバリア機能が低下します

バリア機能の低下は、乾燥など頭皮環境に悪影響を及ぼし、抜け毛につながる恐れがあります。

間違ったヘアケア

(出典:(20)化粧品が原因の皮膚トラブルの見分け方)
(出典:(21)頭髪化粧品と毛髪)

間違ったヘアケアにより、髪が異常に抜けてしまう人もいます。

たとえばヘアカラーやブリーチなどを短期間で何度もしている場合、頭皮が炎症を起こす恐れがあるので注意しましょう

また髪を乾かすときにドライヤーを長時間使ったり、近づけすぎたりしている場合にも注意が必要です。熱で髪のタンパク質が変化して、髪がダメージを受けてしまいます。ドライヤーを髪と近い距離で長く使いすぎないようにしましょう。

食生活の乱れ

(出典:(22)マウスのタンパク質栄養状態と体毛タンパク質合成の関係について)
(出典:(23)e-ヘルスネット たんぱく質)
(出典:(24)頭髪外来における内服・外用による男女の発毛治療)
(出典:(25)厚生労働省eJIM > 海外の情報 > 亜鉛)

食生活が乱れている人も注意が必要です。

過度なダイエットや偏った食事などで栄養が不足すると、髪に悪影響を及ぼす可能性があるからです

栄養素の中でも、とくにタンパク質は重要です。タンパク質は髪や頭皮などを構成している主成分なので、不足すると髪に影響が出るでしょう。また亜鉛が不足すると、脱毛を引き起こす恐れがあります。

睡眠不足・睡眠の質の低下

(出典:(26)清酒酵母による睡眠の質改善作用と機能性表示食品への応用)
(出典:(27)男子大学生における夜間睡眠の乱れと自律神経系活動の関係)
(出典:(28)睡眠ストレスによる身体情報の変化)
(出典:(29)血管迷走神経反射におけるアドレナリンの脳血流に及ぼす影響)

「睡眠時間が短い」「なかなか寝付けない」など、睡眠の問題によって生活リズムが乱れている場合にも注意が必要です。

睡眠時の夜間には、髪を構成するタンパク質の合成を促す働きをもつ成長ホルモンが多く分泌されます。睡眠不足により成長ホルモンの分泌が不足することで、髪に影響を及ぼす可能性があるといえるでしょう。

また睡眠が不足するとストレスで交感神経が優位になって血行が悪くなり、髪に十分な栄養が行き渡りにくくなる恐れもあります

運動不足

(出典:(30)顕微鏡血流観察による有酸素運動前後の毛細血管血流速度の定量)

異常な抜け毛の考えられる原因のひとつには運動不足も挙げられます。髪の健康のためにも、積極的に有酸素運動を取り入れてみましょう。

有酸素運動を行うと血流が増えて血行が良くなります。全身の血の巡りがよくなれば、髪や頭皮にも栄養が届きやすくなるでしょう。

ウォーキング・ランニング・ヨガなど、有酸素運動は無数にあります。髪や体のためにも、生活の一部として無理せずに取り入れられそうな運動から始めてみてください。

過度なアルコールの摂取

(出典:(31)飲酒に伴う栄養素摂取状況と食品群別摂取状況の変動ならびに循環器健診成績の関連について)
(出典:(32)厚生労働省eJIM > 海外の情報 > 亜鉛)

アルコールが原因で異常な抜け毛を引き起こしているケースも考えられます。

過剰にアルコールを摂取すると、亜鉛など髪にとって重要な栄養が体に吸収されにくくなるからです

とくに亜鉛の不足は、脱毛など髪だけでなく体に悪影響を及ぼします。抜け毛が異常に多い人は、飲酒を控え、摂取するアルコールの量を減らしてみましょう。

喫煙

(出典:(33)e-ヘルスネット ニコチン)

異常な抜け毛には、喫煙が関係している可能性もあります。

タバコに含まれているニコチンには血管を収縮させる作用があるからです。血管の収縮によって血行が悪化し、髪に必要な栄養が頭皮まで届きにくくなります。

髪が異常に抜けていて普段から頻繁にタバコを吸っている人は、これ以上抜け毛を増やさないためにも、タバコの量を少しずつ減らしてみてはいかがでしょうか。

紫外線

(出典:(34)日焼け止めの科学)

紫外線による日焼けによる抜け毛もあると考えられています。

大量の太陽光を浴びると、頭皮が炎症を起こし、髪の成長などに悪い影響を与える恐れがあります

夏の時期や日差しが強い日などに屋外に出る際は、帽子や日傘などを使って、頭皮に直接日が当たらないようにしましょう。また髪・頭皮用の日焼け止めスプレーを使うのもおすすめです。

加齢

(出典:(35)髪の健康を考える〜美しい髪で過ごすには〜)
(出典:(36)血管の老化)

一日に100本を超えるような異常な抜け毛は、加齢によっても引き起こされます。

年齢を重ねると血管が老化し、血流が悪くなるからです。髪の成長に使われる栄養が十分に行き渡りにくくなってしまいます。

抜け毛が年齢とともに少しずつ増えている場合は、加齢が原因である可能性が高いでしょう。

加齢による抜け毛は防げません。ストレスを溜めないためにも、仕方ないことだと割り切ってしまうのがおすすめです。

ストレスなどが原因で髪が抜けるときの症状

ストレスなどが原因で髪が抜けるときの症状には、主に下記の2種類があります。

円形脱毛症
休止期脱毛症

円形脱毛症

(出典:(37)日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版)

ストレスなどが原因で発症する脱毛症の代表例として、円形脱毛症が挙げられます。

円形脱毛症は、円形のように一部分の髪が抜ける脱毛症です。円形脱毛症の症状は、頭だけでなく毛が生えている部分ならどこにでも現れます。

自覚症状がほとんどないので、「あるとき鏡を見たら髪が円形に抜けていた」などと発症した後に気づく場合が多いでしょう。

円形脱毛症の原因のひとつとして精神的なストレスが考えられていますが、実際には明確な原因がわからないケースも多いです。

円形脱毛症にはアトピー性疾患や自己免疫疾患などにより引き起こされるものもあります。そのため症状が出た場合は注意が必要です。

休止期脱毛症

(出典:(38)髪の健康を考える〜美しい髪で過ごすには〜)
(出典:(39)毛髪と全身・他臓器疾患)

ストレスなどが原因で発症する脱毛症のふたつ目は、休止期脱毛症です。

休止期脱毛症は、ヘアサイクルの休止期にある髪の割合が増えることで発症し、多くの髪が抜けます

急性・慢性びまん性・慢性の3パターンがあり、それぞれ進行するスピードが異なります。3パターンの中でも精神的なストレスによって発症するのは、急性休止期脱毛症です。

注意点として、ヘアサイクルの成長期が休止期に移行するまでには2~3カ月程度かかります。つまりストレスを受けたからといって、髪がすぐに抜けるわけではありません。

休止期脱毛症の原因を知るためには、ある程度の期間をさかのぼって考える必要があります。

髪が異常に抜けるのを防ぐ対策方法

異常な抜け毛の原因を知った後は、その原因に適した対策をすることが重要です。髪が異常に抜けるのを防ぐ対策方法を6つ紹介します。

ストレスを溜めすぎない

(出典:(40)ストレスによる血中カテコールアミン遊離・分泌の中枢性調節機構)
(出典:(41)血管迷走神経反射におけるアドレナリンの脳血流に及ぼす影響)
(出典:(42)画像解析によるマウスの体毛成長の評価)

髪が異常に抜けるのを防ぐために、まずはストレスを溜めすぎないことを心がけましょう。

ストレスを受けすぎる・溜めすぎると交感神経が優位になっている状態が長く続き、血行の悪化につながる恐れがあります。頭皮の血行が悪化すると、抜け毛が増えるだけでなく、髪の成長が遅くなるともいわれています。

異常な抜け毛を起こさない・髪の成長を妨げないために自分の好きなことに没頭したり、体を動かしたりして、溜まったストレスを適度に発散させましょう

シャンプーを見なおす

(出典:(43)低刺激性プロトタイプシャンプーの頭部皮膚疾患患者における使用評価
—頭部皮膚疾患患者を対象とした臨床試験—)
(出典:(44)皮膚バリアの基礎知見 Up-to-Date)
(出典:(45)シャンプー)

異常な抜け毛を防ぐために、普段のシャンプーを見なおしましょう。とくに下記の4点に注意してみてください。

一日に何度もシャンプーをしない
髪や頭皮を強くこすりすぎない
爪を立てて洗わない
洗浄力が強すぎるシャンプーを使わない

シャンプーをしすぎるとバリア機能が低下し、頭皮トラブルが起こりやすくなります。また強くこすったり爪を立てたりして洗うと、頭皮が傷つき炎症を起こします。

シャンプー時は、頭皮を傷つけないように指の腹でやさしく洗いましょう。使用するシャンプー剤は、頭皮への刺激が少ないアミノ酸系シャンプーがおすすめです。

栄養バランスのよい食事をとる

(出典:(46)マウスのタンパク質栄養状態と体毛タンパク質合成の関係について)
(出典:(47)e-ヘルスネット たんぱく質)
(出典:(48)頭髪外来における内服・外用による男女の発毛治療)
(出典:(49)厚生労働省eJIM > 海外の情報 > 亜鉛)
(出典:(50)日本食品標準成分表 卵類)
(出典:(51)日本食品標準成分表 肉類)
(出典:(52)日本食品標準成分表 魚介類)

栄養が不足すると髪が細く弱くなるなど、髪に悪い影響が出ます。食生活が乱れている人は、栄養バランスを意識してみてください。

栄養素の中でも、髪の構成に必要不可欠なタンパク質と亜鉛を摂りましょう。とくに亜鉛は不足しやすい成分なので、意識的に摂る必要があります。

タンパク質が多く含まれている食材は卵や肉類、亜鉛が多く含まれている食材は牡蠣や豚レバーなどです。栄養バランスを考え、普段の食事を見直してみてください。

質のよい睡眠をとる

(出典:(53)第3章 主な医薬品とその作用)
(出典:(54)男子大学生における夜間睡眠の乱れと自律神経系活動の関係)
(出典:(55)睡眠ストレスによる身体情報の変化)
(出典:(56)血管迷走神経反射におけるアドレナリンの脳血流に及ぼす影響)

髪が異常に抜ける人は、睡眠の質を向上させましょう。

睡眠時間が日によって違ったり夜遅くまで起きている生活が続いたりすると、成長ホルモンの分泌が乱れるなど、ホルモンバランスに影響を及ぼす恐れがあります。

また睡眠が不足すると、交感神経が優位になって血行が悪くなる可能性もあります。

異常な抜け毛を防ぐためにも睡眠時間のバラつきや夜更かしに注意し、毎日決まった時刻に寝て起きるような生活を心がけましょう

頭皮マッサージをする

(出典:(57)地肌マッサージの頭皮への作用)
(出典:(58)マイクロスコープを用いた皮膚画像からの血行計測)

頭皮をマッサージするのも、髪が異常に抜けるのを対策する方法のひとつです。

マッサージをすると頭皮の血行がよくなるので、髪や頭皮に十分な栄養が運ばれやすくなります

入浴時やシャンプー時など、すでに血行が良くなっている状態で頭皮をマッサージするのがおすすめです。注意点として、爪を立てたり力を入れすぎたりして頭皮に負担をかけないようにしましょう。

シャンプーと同様に、指の腹を使って頭皮全体をやさしくもむようにしてみてください。頭のツボを意識してマッサージすると、リラックスできます。

医師に相談し、AGA治療を行う

(出典:(59)Malasseziaと脂漏性皮膚炎・アトピー性皮膚炎)

(出典:(60)男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版)

(出典:(61)日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017年版)

抜け毛の種類によっては、医療機関での治療が必要な場合があります。とくに受診が推奨される疾患は、以下の3つです。

男性型脱毛症 (AGA)

AGAとは男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロン (DHT) が誘発因子となり、薄毛や抜け毛が進行する病気です。主な治療法としては、DHTの合成を阻害する治療薬や発毛を促す治療薬が処方されます。

脂漏性皮膚炎

脂漏性皮膚炎とは頭皮の常在菌が原因で頭皮のかゆみや炎症、抜け毛などが生じる皮膚炎です。主な治療法としては、頭皮の炎症を抑える薬や原因菌 (マラセチア菌) の増殖を抑える薬が処方されます。

円形脱毛症

円形脱毛症は免疫系統が毛包組織を攻撃してしまうことで、円形の抜け毛が生じる病気です。円形脱毛症のメカニズムと治療法は現時点で確立されておらず、対症療法が中心です。まずは医療機関への受診を推奨します。

病気が原因で発症する抜け毛は、ここに挙げた3例に限りません。抜け毛の原因として病気が疑われる場合、専門医の助言を仰ぐことをおすすめします。

まとめ

髪が異常に抜ける大きな原因は、ヘアサイクルの乱れです。ヘアサイクルは過度なストレスや睡眠不足などで乱れてしまう可能性があります。

まずはどのような理由で髪が異常に抜けているかをしっかり理解した上で、その原因に適した対策をするのがとても重要です

髪が異常に抜ける原因を解消したい人は、この記事で紹介した5つの対策方法を試してみてください。

文献

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60).日本皮膚科学会誌 127巻(2017) 13号 p.2763-2777

監修者紹介

佐藤明男

佐藤明男
東京メモリアルクリニック理事長

■ プロフィール
1957年新潟県生まれ。北里大学医学部卒業。
1998年、厚生省(当時) 高度先進医療推進事業でオックスフォード大学医学部客員研究員として英国に国費留学し、帰国後、東京メモリアルクリニック・平山副院長を経て院長に就任。医療法人TMC理事長を兼任。これまで10,000人を超えるAGA(男性型脱毛症)患者を治療してきた実績を持つ、頭髪治療の第一人者。
■論文・出版情報
2007年 『医療的育毛革命』
2009年 『なぜグリーン車にはハゲが多いのか』

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