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育毛に役立つ栄養素や食べ物を一挙紹介!気をつけるべき食習慣も知っておこう

2023.02.28

監修者紹介

佐藤明男

佐藤明男
東京メモリアルクリニック理事長

さとう美容クリニック院長, 北里大学医学部客員教授, 日本形成外科学会専攻医, 日本臨床毛髪学会理事, 日本先進医師会特定認定再生医療委員会委員長, SKIファーマ株式会社副社長
頭髪に関する内科治療と外科治療まで幅広く実践し、毛髪研究、教育も積極的に行っている。

薄毛や抜け毛が気になり、育毛をしようと思っている人は多いのではないでしょうか。

育毛というと育毛剤の使用が真っ先に思いつくかもしれませんが、髪に良いとされる食べ物を積極的に摂ることも育毛に繋がります。

今回は育毛に役立つ栄養素や食べ物、気をつけたい食習慣を紹介します。

育毛に役立つ栄養素・食べ物とは?

(出典:(1)マウスのタンパク質栄養状態と体毛タンパク質合成の関係について,(2)わが国の臨床医学・医療での微量元素に関する最近の動向と今後の課題,(3)4.橋本病;甲状腺機能低下症の診断と治療,そして可逆性甲状腺機能低下症,(4)教育セミナー: 毛髪科学最前線—ヘアケアから再生医療まで—育毛薬剤の開発と評価方法(これまでと今後),(5)17型コラーゲン産生促進効果を有するPLGA ナノ粒子の新型育毛剤への応用,(6)Mrinal Gupta「Zinc Therapy in Dermatology: A Review」,(7)妊娠と美)

育毛に役立つ栄養素は、大きく分けて以下の6種類があります。

・タンパク質
・ヨウ素 ( ヨード )
・ビタミン
・コラーゲン
・亜鉛
・イソフラボン

これらの栄養素をバランス良く摂取することが大切です。

タンパク質

(出典:(8)食品学,(9)牡蠣酵素分解ペプチドの中性脂肪およびコレステロール低減効果)

タンパク質は髪にとって重要な栄養素で、髪の主成分であるケラチンの生成をサポートする役割を担います。

タンパク質が多く含まれる食べ物は、以下の通りです。

・肉
・魚
・卵
・大豆
・牛乳
・乳製品
・カキ

生命維持のため優先して供給される栄養素なので、不足してしまうと髪が弱々しくなってしまいます。

ヨウ素 ( ヨード )

(出典:(10)日本食品標準成分表2010の活用—食事から適切にヨウ素を摂取するために)

ヨウ素(ヨード)は、髪の生成に必要な栄養素の一つです。甲状腺の働きをサポートし、髪の発育を促進させるのに役立つとされています。また髪のハリやコシ、保水力の向上にも有効な栄養素です。

ヨウ素が豊富に含まれる食べ物は、以下のような海藻類です。

・昆布
・昆布エキス
・ひじき
・わかめ

ヨウ素はタンパク質と組み合わせて摂取することで、より高い育毛効果が期待できます
。そのため肉や魚と一緒にバランスよく摂取することが大切です。

ビタミン類

(出典:(11)ビタミンAおよび動物蛋白質摂取量に影響される毛髪中シスチン含量,(12)教育セミナー: 毛髪科学最前線—ヘアケアから再生医療まで—育毛薬剤の開発と評価方法(これまでと今後,(13)ビタミンC合成不全マウスを用いたビタミンC含有製剤塗布による育毛と皮膚中17型コラーゲンへの影響,(14)17型コラーゲン産生促進効果を有するPLGAナノ粒子の新型育毛剤への応用)

ビタミン類も育毛のためには欠かせない栄養素です。髪に良い影響をもたらすビタミンは、以下が挙げられます。

・ビタミンA
・ビタミンB
・ビタミンC
・ビタミンE

それぞれのビタミンが含まれている食べ物を紹介します。

ビタミンA

(出典:(15)ビタミンAの過剰摂取による影響)

ビタミンAは抗酸化作用があり、頭皮の健康維持に役立つ栄養素です。また新陳代謝を促す働きもあります。

ビタミンAが多い食べ物は、以下の通りです。

・鶏肉
・レバー
・にんじん
・小松菜
・ほうれん草
・うなぎ

ビタミンAを摂取することで、頭皮の乾燥やフケ・かゆみ・抜け毛予防ができます。

ビタミンB

(出典:(16)食品成分データベース)

ビタミンBは頭皮の血行促進や乾燥対策に役立つ栄養素です。ビタミンBが摂取できる主な食べ物は、以下などがあります。

・豚肉
・レバー
・卵
・納豆
・かつお
・まぐろ
・バナナ
・玄米
・シイタケ

単体で摂取するよりも他の栄養素とバランスよく摂ることで、より高い育毛効果が期待できます

ビタミンC

(出典:(17)食品成分データベース)

ビタミンCを摂取することで、頭皮に良い影響を与える17型コラーゲンがスムーズに作られることが期待できます。

ビタミンCが含まれる主な食べ物は、以下の通りです。

・キウイ
・ブロッコリー
・小松菜
・パプリカ
・レモン
・パセリ
・イチゴ
・柑橘類

ビタミンCは薄毛や抜け毛の原因となるストレスの緩和にも繋がるので、生活習慣が乱れている人は積極的に摂取しましょう。

ビタミンE

(出典:(18)ビタミンEの抗酸化作用,(19)サツマイモと魚の組み合わせは長寿食,(20)食品類別・食品群別ビタミンE荷重平均成分表の試作,(21)口内炎の予防と体質改善-口内炎を治療してきた歯科医の提言-,(22)キャリアオイル中のビタミンEおよびフィトステロール含量,(23)胡麻に含まれるセサミンの機能解明と健康食品の開発)

ビタミンEは抗酸化作用のある栄養素です。頭皮の老化を促す過酸化脂質の生成を抑える働きがあります。

ビタミンEが含まれる食べ物は、以下の通りです。

・卵
・アボガド
・アーモンド
・ゴマ
・グレープシードオイル
・ナッツ類

また頭皮の血行促進にも役立つ栄養素なので、頭皮の血行不良を防ぎ髪の健康維持に役立ちます。

コラーゲン

(出典:(24)17 型コラーゲン産生促進効果を有するPLGA ナノ粒子の新型育毛剤への応用,(25)農水産物の糖質に関する研究)

コラーゲンは、髪の毛を構成する毛包幹細胞を保護する働きがある栄養素です。コラーゲンが不足すると毛包幹細胞が頭皮の表面へ移動して、毛穴が小さくなってしまいます。

コラーゲンが含まれる主な食べ物は、以下の通りです。

・牛すじ
・エビ
・うなぎ
・サンマ
・フカヒレ
・長いも
・れんこん
・納豆

単品よりもビタミンCと併せて摂取することで、より高い育毛効果が期待できます

亜鉛

(出典:(26)Mrinal Gupta「Zinc Therapy in Dermatology: A Review」,(27)食品成分データベース)

亜鉛は毛母細胞の増殖を促進するミネラルです。ケラチンの生成のサポートや、抜け毛の原因となる5α-リダクターゼを阻害する働きがあります。

亜鉛が含まれる主な食べ物は、以下の通りです。

・カキ
・玄米
・ぬか
・納豆
・うなぎ
・高野豆腐

イソフラボン

(出典:(28)大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A,(29)ファンクショナル・フードファクター・データベースと食品の安全性)

イソフラボンは、以下のような大豆類に多く含まれています。

・大豆
・納豆
・豆腐
・高野豆腐
・油揚げ
・味噌
・豆乳

女性ホルモンと似た作用を持つイソフラボンは、髪にコシやツヤを与えるために最適な栄養素です。また薄毛の原因となる男性ホルモンを抑制する働きもあります。

育毛や抜け毛予防に役立つ飲み物

(出典:(30)カテキンの秘めたるパワー,(31)L-テアニンのヒトの脳波に及ぼす影響,(32)アンドロゲンとヒト成長ホルモンの使用に関する公式見解)

緑茶にはビタミンやミネラルが豊富に含まれているため、育毛におすすめの飲み物です。緑茶に含まれるカテキンは、頭皮の老化を防いで毛細血管の働きを活発にする作用があります。

さらに抗ストレス作用があるL-テアニンも含まれているため、抜け毛の原因となるストレスの軽減も期待できます。

また緑茶に含まれるカフェインには利尿作用があり、尿とともに薄毛の原因となるジヒドロテストテロンの排出を促すのでヘアケアに有効です。

ただしカフェインは、覚醒作用があり質の良い睡眠を妨げることもあるので、飲み過ぎに注意しましょう

育毛のために気をつけたい食習慣とは?

薄毛に悩んでいる人は食習慣にも注目し、以下の4つを気をつけるようにしましょう。

・脂質や糖質を多く含む食べ物の摂りすぎ
・過度なダイエット
・アルコールの摂りすぎ
・寝る前の食事

脂質や糖質を多く含む食べ物の摂りすぎ

(出典:(33)各種機能性を有する米発酵エキスの研究開発ライスパワーⓇエキス~日本酒から化粧品まで~)

脂質や糖質を多く含む食べ物の摂りすぎに注意しましょう。

脂肪分を摂りすぎてしまうと皮脂の分泌量が増え、頭皮環境の悪化が引き起こされるからです。また血液がどろどろになり、頭皮に悪影響を及ぼします。

脂質や糖質が含まれる食事をするときは、ビタミンや食物繊維を含んだ野菜も一緒に食べるようにしましょう。髪に悪影響を与えるリスクを減らせます。

過度なダイエット

過度なダイエットは髪に栄養が行き渡らなくなるので厳禁です。栄養が不足すると髪が細くなってしまい、抜け毛が増加します。

ダイエットにより一度髪の毛が抜けてしまうと、途中でダイエットを止めても回復が難しいので注意しましょう。

また急激なダイエットで食事制限をすると、我慢によるストレスで頭皮に悪影響を及ぼしてしまいます

カロリーを抑えながら育毛を目指すなら、栄養があって脂質が低い緑黄色野菜や豆腐、海藻類や豚肉の赤身などを食べるのがおすすめです。

アルコールの摂りすぎ

(出典:(34)e-ヘルスネット 「アルコールの吸収と分解」)

アルコールを飲む人は、飲み過ぎないように注意しましょう。アルコールの分解時に発生するアセトアルデヒドは、血液中の栄養や酵素の流れを阻害する働きを持ちます。

また男性ホルモンを増加させ、AGA ( 男性型脱毛症 ) の原因にもなるので注意が必要です。

飲酒を控えることで食欲が抑えられる、睡眠の質が高まるなど髪に良い影響をもたらすことが期待できます。

寝る前の食事

髪に良い食べ物であっても、就寝前は極力食べないようにしましょう。髪の成長を妨げてしまう恐れがあるからです。

就寝前に食事をすると血液が消化に使われるようになり、本来行き届くはずの酸素や栄養素が頭皮に行き渡りにくくなってしまいます。また寝ている間に胃が活発になることで、質の低い睡眠になりるので頭皮環境の悪化になりかねません。

そのため食事は、就寝3時間前までに終えておくのがベストです。どうしても就寝前に食べたくなったら、野菜スープやサラダを食べる程度に留めるようにしましょう

育毛するなら食べ物に気を使おう

育毛に役立つ栄養素や食べ物を把握しておき、積極的に取り入れていくことで育毛効果が期待できます。それぞれの栄養素の特徴を理解し、バランスよく摂るように心がけましょう。

また食習慣を見直して、良い頭皮環境を維持するようにすることも大切です。

文献

1).川崎医療福祉学会誌 Vol. 22  No. 2 2013 200 − 207
2).J-STAGEトップ/日本衛生学雑誌/73 巻 (2018) 1 号/書誌
3).J-STAGEトップ/日本内科学会雑誌/86 巻 (1997) 7 号/書誌
4).J-STAGEトップ/日本香粧品学会誌/42 巻 (2018) 2 号/書誌
5).J-STAGEトップ/粉砕/64 巻 (2021)/書誌
6).Dermatology Research and Practice / 2014 / Article
7).女性心身医学/21 巻 (2016-2017) 3 号/P.290-294
8).共立出版
9).日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan 107(5),317-323, 2012-05-15
10).J-STAGEトップ/日本食生活学会誌/22 巻 (2011) 2 号/書誌
11).栄養と食糧/15 巻 (1962-1963) 6 号/書誌
12).J-STAGEトップ/日本香粧品学会誌/42 巻 (2018) 2 号/書誌
13).北海道薬科大学 薬理学分野、株式会社ビタブリッドジャパン
14).J-STAGEトップ/粉砕/64 巻 (2021)/書誌
15).内閣府食品安全委員会
16).「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」引用
17).「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」引用
18).J-STAGEトップ/ビタミン/62 巻 (1988) 11 号/書誌
19).鹿児島女子短期大学紀要 第49号(2014)35〜45頁
20).J-STAGEトップ/ビタミン/65 巻 (1991) 7 号/書誌
21).徳島大学大学開放実践センター紀要 69 第 28 巻(2019)pp.69 ~ 73
22).J-STAGEトップ/アロマテラピー学雑誌/22 巻 (2021) 2 号/書誌
23).J-STAGEトップ/化学と生物/56 巻 (2018) 9 号/書誌
24).J-STAGEトップ/粉砕/64 巻 (2021)/書誌
25).J-STAGEトップ/日本食品科学工学会誌/63 巻 (2016) 7 号/書誌
26).Dermatology Research and Practice / 2014 / Article
27).「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」引用
28).厚生労働省ホームページ
29).J-STAGEトップ/日本補完代替医療学会誌/2 巻 (2005) 2 号/書誌
30).J-STAGEトップ/オレオサイエンス/8 巻 (2008) 9 号/書誌
31).J-STAGEトップ/日本農芸化学会誌/72 巻 (1998) 2 号/書誌
32).NSCAジャパンホームページ
33).J-STAGEトップ/化学と生物/57 巻 (2019) 2 号/書誌
34).e-ヘルスネット > 飲酒 > アルコールの基礎知識 > アルコールの吸収と分解

監修者紹介

佐藤明男

佐藤明男
東京メモリアルクリニック理事長

■ プロフィール
1957年新潟県生まれ。北里大学医学部卒業。
1998年、厚生省(当時) 高度先進医療推進事業でオックスフォード大学医学部客員研究員として英国に国費留学し、帰国後、東京メモリアルクリニック・平山副院長を経て院長に就任。医療法人TMC理事長を兼任。これまで10,000人を超えるAGA(男性型脱毛症)患者を治療してきた実績を持つ、頭髪治療の第一人者。
■論文・出版情報
2007年 『医療的育毛革命』
2009年 『なぜグリーン車にはハゲが多いのか』

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