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発毛剤の効果とは?育毛剤との違いや副作用、自分に合ったアイテムの選び方もご紹介!

2023.01.27

監修者紹介

佐藤明男

佐藤明男
東京メモリアルクリニック理事長

さとう美容クリニック院長, 北里大学医学部客員教授, 日本形成外科学会専攻医, 日本臨床毛髪学会理事, 日本先進医師会特定認定再生医療委員会委員長, SKIファーマ株式会社副社長
頭髪に関する内科治療と外科治療まで幅広く実践し、毛髪研究、教育も積極的に行っている。

「発毛剤は本当に効果があるのだろうか」「自分に合う発毛剤はどれだろう」というお悩みを持つ方は少なくありません。

発毛剤は薄毛対策として手軽に始めることができますが、期待する効果を得るためには、正しく使う必要があります

そこでこの記事では、発毛剤の効果や育毛剤との違い、知っておきたい基礎知識、発毛剤の選び方や使い方を解説します。

発毛剤の効果とは?

発毛剤は頭皮に直接使用し、新しい毛を生やす「発毛効果」を発揮する外用薬です。主成分である「ミノキシジル」は、世界各国で使用されている薄毛治療の有効成分です。

ミノキシジルとは

(出典:(1)特集 脱毛性疾患の病態と治療 ミノキシジルの発毛効果について)
(出典:(2)男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版)

ミノキシジルはもともと血圧を下げる薬として開発されたものです。しかし副作用として多毛がみられたことから、薄毛治療に転用されました。

ミノキシジルには頭皮の血管を拡張させ、血流を促進する作用があります。この作用により毛包に直接刺激を与え、毛周期の成長期を促進する効果があること、新しい髪を生やす効果があること、髪の脱毛を予防する効果があることが認められています。

ミノキシジルの発毛効果は、高い水準の根拠があることから日本皮膚科学会ガイドラインで推奨度5段階のうち最高ランクの評価を受け、男性型脱毛症に5%のミノキシジルを外用するよう推奨されています

発毛剤には副作用がある?

(出典:(3)ミノキシジルのリスク区分について)
(出典:(4)ミノキシジルの安全使用の徹底について)

発毛剤は薄毛に対する効果が期待できる一方で、副作用が現れる可能性があります。厚生労働省による調査では、副作用が発生する確率は8.82%です。

副作用は必ず現れるものではなく、また症状には個人差がありますが、主に頭皮のかゆみやかぶれといった症状があげられます。これらの症状は、発毛剤に配合されている発毛成分「ミノキシジル」によるものです。

またミノキシジルは、もとは血圧を下げる薬として使われていたこともあり、頭痛やめまいなどの副作用を引き起こすことがあります。高血圧・低血圧の治療を受けている方、心臓に持病のある方は、心筋梗塞や狭心症など循環器系の副作用を引き起こす可能性があるため、購入前に医師や薬剤師に相談してください

副作用のリスクを減らすためにも、発毛剤は必ず用法・用量を守って使用しましょう。気になる症状が現れたときは使用を中止し、医師に相談してください。

外用薬を服用すると抜け毛が増える?

(出典:(5)ヘアケアの科学)
(出典:(6)男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版)

発毛剤を使い始めた最初の頃に抜け毛が増えることがあります。これは「初期脱毛」と呼ばれる現象です。

新しい毛を生やすために、古い毛は抜ける必要があるため、初期脱毛が起こります。

抜け毛が増えることで不安になり、途中で発毛剤の使用を止めてしまうと、効果を感じられなくなってしまいます。そのため初期脱毛が起きても、継続して使用することが大切です。

発毛剤と育毛剤の違い

(出典:(7)新薬紹介総説 ミノキシジルの発毛効果について)
(出典:(8)男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版)

発毛剤と育毛剤は、効果や目的に大きな違いがあります。

発毛剤

乱れてしまったヘアサイクルを整え、新しい髪を生やす効果、薄毛を改善する効果があります医薬品として治療を目的につくられています。

育毛剤

髪が育ちやすいように頭皮環境を整え、抜け毛を防ぐ効果、今ある髪を育てる効果があります医薬部外品として防止や衛生を目的につくられています。

どちらもドラッグストアや、ネットショップで市販されています。発毛剤と育毛剤の効果や目的の違いは、発毛剤にのみ含まれる「ミノキシジル」の作用によるものです。

どちらを選ぶべき?

悩みや目的によって、発毛剤と育毛剤のどちらを選ぶべきなのかが変わってきます。

発毛剤がおすすめ

・薄毛が気になる方
・抜け毛が増えてきたと感じる方
・新しい髪を増やしたい方

育毛剤がおすすめ

・髪が細くなってきたと感じる方
・薄毛や抜け毛を予防したい方

すでに薄毛で悩んでいる方は「発毛剤」が、頭皮は目立っていないけれど、
髪に元気が無いと感じる方には「育毛剤」がおすすめです。
 
 

自分に合った発毛剤の選び方

発毛剤の種類は豊富にあり、その特徴もさまざまです。選び方の基準がわからず、どれを選んだらいいのか悩まれる方は多いのではないでしょうか。

自分に合った発毛剤を選ぶため、以下の3つのポイントに注目してみましょう。

・ミノキシジルの配合量
・使いやすさ
・継続して購入できる価格

 

ミノキシジルの配合量

(出典:(9)各種刺激に伴う皮膚環境変化がミノキシジルナノ製剤の薬物挙動へ与える影響)
(出典:(10)男性型脱毛症診療ガイドライン(2010 年版))

市販の発毛剤に含まれる、ミノキシジルの濃度は1〜5%です。
男性の症例に対しては5%が推奨されています。

頭皮のかゆみやかぶれといった副作用が気になる方には、まずは1%濃度の発毛剤から試してみることをおすすめします

効果や副作用には個人差があるので、自分に合った濃度の発毛剤を選びましょう。

使いやすさ

発毛剤は毎日使用するものだからこそ、使いやすさも選ぶ際のポイントになります

発毛剤を出すノズルは、1回分の使用量をはかれるもの、先端を細くしてあるもの、先端に柔らかい素材を使用しているものなど、各メーカーで工夫して作られています。実際に試してみて使いづらさを感じたら、薬液を使い切るタイミングで、他の製品に切り替えてみるのもひとつの手です。

香料を使用していない、無香料タイプも使いやすい発毛剤といえます。香りの強い発毛剤を使用すると、周りに気づかれてしまうこと、迷惑になること、香水や整髪料の香りの邪魔になることがあるので、無香料タイプの発毛剤がおすすめです。

継続して購入できる価格

(出典:(11)男性型脱毛症治療の現状と今後の展望)

発毛剤選びでは金額的に無理しないことも大切です。発毛剤は一度買ったら終わりではなく、効果を実感するためには、少なくとも6ヵ月間は使用し続ける必要があるためです。継続して購入できる価格のものを選びましょう。

発毛剤の価格は1,000円台の安価なものから、10,000円台の高価なものまで幅広くあります。高額なものはさまざまな有効成分が含まれるなど、より効果が期待できるものがありますが、金額的な負担も増えてしまいます。

まとめ買いや定期購入することで、割引サービスを実施しているメーカーもありますので、購入したい商品のキャンペーンの有無を確認してみましょう。

発毛剤はどのくらいで効果が出る?

(出典:(12)男性型脱毛症治療の現状と今後の展望)
(出典:(13)各種刺激に伴う皮膚環境変化がミノキシジルナノ製剤の薬物挙動へ与える影響)
(出典:(14)起源又は発見の経緯及び外国における使用状況)

ミノキシジル5%濃度の発毛剤を1日2回塗布することで、効果が実感できる期間の目安は、およそ6ヵ月〜1年とされています

髪にはヘアサイクルがあり、成長期が2〜6年続いた後、数週間の退行期、2年間の休止期を経て、再び新しい髪が生えてきます。そのため効果が感じられるようになるまで、少なくとも6ヵ月程度は根気よく発毛剤を使用しましょう

発毛剤の正しい使い方

(出典:(15)一般用医薬品のリスク区分)

発毛剤をなんとなく使ってしまうこと、間違った使い方をすることは、効果が薄れてしまうだけでなく、副作用のリスクを高めてしまう可能性があります。まずは各メーカーの説明書で使用頻度や回数、使用用量を確認し、正しく使うことが重要です

ここでは発毛剤の効果を十分に発揮するために押さえておきたいポイントを3つ紹介します。

塗布するタイミング

汚れた頭皮よりも清潔な頭皮の方が、有効成分が浸透しやすいとされています。そのため丁寧に洗髪できる夜の入浴後が、発毛剤を塗布するベストタイミングです。1日2回塗布するタイプの場合は、朝のヘアセットで整髪料をつける前にも使用しましょう

頭皮に塗布する

(出典:(16)ミノキシジルのリスク区分について)

気になる箇所の髪の毛をしっかりかき分けて、頭皮に塗布します。

発毛剤を塗布する際、適量より多めに使用しても効果は上がりません。それどころか副作用のリスクが高まる可能性があるとされています。必ず説明書を確認し、各メーカーが推奨している用量を守るようにしましょう。

マッサージをする

(出典:(17)地肌マッサージの頭皮への作用)

発毛剤を塗布した後、指の腹で優しくマッサージをしましょう。マッサージすると血流が良くなり、毛髪の成長に必要な栄養が、頭皮に行きわたりやすくなります

また有効成分が、より頭皮に浸透しやすくなる効果も期待できます。

自分に合った発毛剤で薄毛を改善しよう

発毛剤を使用するのにベストなタイミングは「薄毛が気になったとき」です。

薄毛は放置していても改善しません。早めの段階から発毛剤を使い始めることで、効果的に薄毛・抜け毛を改善することができます

記事で紹介した発毛剤の選び方を参考に、自分に合った発毛剤で薄毛を改善していきましょう。

文献

1).順天堂医学 37巻 (1992) 4号 P.606-612
2).6).8)日本皮膚科学会雑誌 127巻 (2017) 13号 p.2763-2777
3).16)厚生労働省 ミノキシジルのリスク区分について
4).厚生労働省 ミノキシジルの安全使用の徹底について
5).繊維製品消費科学 28巻 (1987) 6号 p.219-226
7).日本薬理学雑誌 119巻 (2002) 3号 p.167-174
9).13)YAKUGAKU ZASSHI 142巻 (2022) 9 p.1015-1020
10).日本皮膚科学会雑誌 120巻 (2010) 5号 p.977-986
11).12)日本薬理学雑誌 133巻 (2009) 2号 p.78-81
14).独立行政法人医薬品医療機器総合機構 「起源又は発見の経緯及び外国における使用状況等」
15).厚生労働省 一般用医薬品のリスク区分
17).日本化粧品技術者会誌 48巻 (2014) 2号 p.97-103

監修者紹介

佐藤明男

佐藤明男
東京メモリアルクリニック理事長

■ プロフィール
1957年新潟県生まれ。北里大学医学部卒業。
1998年、厚生省(当時) 高度先進医療推進事業でオックスフォード大学医学部客員研究員として英国に国費留学し、帰国後、東京メモリアルクリニック・平山副院長を経て院長に就任。医療法人TMC理事長を兼任。これまで10,000人を超えるAGA(男性型脱毛症)患者を治療してきた実績を持つ、頭髪治療の第一人者。
■論文・出版情報
2007年 『医療的育毛革命』
2009年 『なぜグリーン車にはハゲが多いのか』

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