監修者紹介
- 佐藤明男
- 東京メモリアルクリニック理事長
さとう美容クリニック院長, 北里大学医学部客員教授, 日本形成外科学会専攻医, 日本臨床毛髪学会理事, 日本先進医師会特定認定再生医療委員会委員長, SKIファーマ株式会社副社長
頭髪に関する内科治療と外科治療まで幅広く実践し、毛髪研究、教育も積極的に行っている。
ヘアケアの基本は毎日の洗髪にあります。シャンプーのやり方次第で髪のコンディションは大きく変わってきます。しかしついつい自己流でやってしまい、本当に正しい洗髪方法がわからないままシャンプーを行っている人も少なくありません。
本記事ではヘアケアの基本である洗髪の正しい手順や注意点、洗髪の豆知識などを紹介します。
間違ったシャンプーは髪質を損なう要因になるだけでなく、頭皮トラブルを引き起こす要因にもなります。洗髪のポイントをしっかり抑え、本当に髪に良いヘアケアを実践しましょう。
目次
ヘアケアに大切な豆知識
「洗髪=髪を洗うこと」ではない
(出典:(1)毛髪にかかる負担を軽減するための吸引式ヘアドライヤーの開発)
洗髪は「髪ではなく頭皮を洗う」という意識を持つことが重要です。濡れた髪の毛はキューティクルが開いて非常に傷つきやすい状態にあります。「髪の毛を洗う」という意識でシャンプーをすると髪が必要以上にダメージを受けてしまいます。
あくまでも頭皮の洗浄を中心に、やさしく汚れを落とすようにしましょう。
朝シャンは避けた方がいい
(出典:(2)Peroxidation in Human Skin and Its Prevention)
頭皮のことを考えると、朝シャンはおすすめできません。髪や頭皮がもっとも汚れるのは日中です。紫外線によって頭皮の皮脂も酸化しますし、ちりやほこり、スタイリング剤や汗なども付着しています。
夜にシャンプーをしないと、翌朝まで汚れを持ち越すことになります。また朝シャンをすると、1日の始まりに皮脂を洗い流すことになり、頭皮が乾燥しやすくなる点もデメリットです。
シャンプーをつける前の工程が大切
髪へのダメージを最小限に抑えるためには、シャンプーをする前の下準備が大切です。いきなりシャンプーをつけて髪を洗い始めると、汚れを落とすのに時間がかかり、髪や頭皮への負担が大きくなります。
シャンプー前にはブラッシングやお湯での予洗いを行い、一通りの汚れを取っておきます。
準備を入念に行うとシャンプーの時間を短縮できるので、髪や頭皮への負担を抑えられるのです。
ヘアケアのための正しい洗髪の手順
1.ブラッシングする
まず入浴前に軽くブラッシングを行います。髪を濡らす前にブラッシングを行うことで、髪のほつれや絡まりをほどくとともに、髪についたほこりなどを取り除きます。
ブラッシングは目の粗いブラシか、ブラシがない場合は手ぐしで行いましょう。目の詰まったコームを使うと、摩擦によってかえって髪が傷んでしまいます。
2.お湯で予洗いする
シャンプーをつける前にお湯で予洗いをします。髪には皮脂汚れの他に、水溶性の汚れやちりやほこりなどの物理的な汚れも付着しています。
皮脂汚れはシャンプーを使わないときれいに落ちませんが、それ以外の汚れはお湯だけでも十分落とすことが可能です。予洗いで大方の汚れを取っておくことで、シャンプー時の負担を減らせます。
3.シャンプーをしっかり泡立てて使う
シャンプーはしっかり泡立てて使いましょう。泡が細かければそれだけ表面積が増えて、髪や頭皮の隅々までシャンプーが行き届くようになります。ふわふわの泡はクッションの役割も果たし、髪と髪との摩擦を減らす効果もあります。
シャンプーがよく泡立つように、予洗いで皮脂を減らし、髪と頭皮を十分に濡らしておくことが大切です。
4.頭皮をマッサージするように洗う
髪と頭皮の間に指を差し入れて、やさしくマッサージするように洗います。
手指を使って頭皮にまんべんなく泡を行き渡らせましょう。耳の上や後頭部は特に洗い残しやすいので、意識して洗うようにしてください。
頭皮のべたつきが気になる方は、洗髪専用の洗浄ブラシを使うのも効果的です。洗浄ブラシは髪が絡まらないように小刻みに動かして使います。
5.すすぎ残しがないように洗い流す
すすぎは念入りに行い、指でヌルつきを感じなくなるまでしっかり洗い流しましょう。シャンプーの成分が頭皮に残っていると、頭皮がダメージを受けてかゆみや炎症につながるおそれがあります。
すすぎにはぬるま湯を使いましょう。熱すぎるお湯を使うと油分が必要以上に奪われ、シャワー後に頭皮が乾燥しやすくなります。
6.やさしくタオルドライする
タオルドライは髪をやさしく包み込むようにして、そっと水気を吸わせます。
濡れた状態の髪はとても傷みやすいです。タオルを動かしてゴシゴシと拭いてしまうと、髪同士が擦れて表面のキューティクルがはがれてしまいます。
ゴシゴシ拭かなくても済むように、できるだけ吸水性の良いタオルを使うことも大切です。
7.ドライヤーで乾かす
(出典:(3)Study of Fragrance Materials on Controlling Head Odors Formation)
タオルドライが終わったら、ドライヤーを使って髪を乾かします。自然乾燥は基本的にNGです。髪が湿ったままにしておくと頭皮に雑菌が繁殖して、フケやかゆみ、いやな匂いの原因になります。
ドライヤーでは毛先が乾かしすぎになりやすいため、髪を指で伸ばしながら根元の方からドライヤーの風を当てていきましょう。
ヘアケアのための洗髪に関するまとめ
ヘアケアの基本である正しい洗髪方法について解説しました。髪の健康は毎日の洗髪によって保たれています。髪のパサつきや頭皮のトラブル、薄毛や抜け毛などを防ぐためにも、負担の少ない洗髪が大切です。
間違った洗髪方法は髪と頭皮をかえって傷めることにもつながります。髪と頭皮にやさしい洗髪をつづけていれば、丈夫でツヤのある髪の毛が生えてきて、良好な髪質をキープできるでしょう。
記事で紹介したポイントをしっかり抑え、毎日のヘアケアに役立ててください。
文献
1).科学・技術研究/2 巻 (2013) 1 号/書誌
2).Journal of Japan Oil Chemists’ Society/Volume 44 (1995) Issue 4/Article overvie
3).Journal of Society of Cosmetic Chemists of Japan/Volume 32(1997-1998) Issue 1/Article overview
監修者紹介
- 佐藤明男
- 東京メモリアルクリニック理事長
■ プロフィール
1957年新潟県生まれ。北里大学医学部卒業。
1998年、厚生省(当時) 高度先進医療推進事業でオックスフォード大学医学部客員研究員として英国に国費留学し、帰国後、東京メモリアルクリニック・平山副院長を経て院長に就任。医療法人TMC理事長を兼任。これまで10,000人を超えるAGA(男性型脱毛症)患者を治療してきた実績を持つ、頭髪治療の第一人者。
■論文・出版情報
2007年 『医療的育毛革命』
2009年 『なぜグリーン車にはハゲが多いのか』