監修者紹介
- 佐藤明男
- 東京メモリアルクリニック理事長
さとう美容クリニック院長, 北里大学医学部客員教授, 日本形成外科学会専攻医, 日本臨床毛髪学会理事, 日本先進医師会特定認定再生医療委員会委員長, SKIファーマ株式会社副社長
頭髪に関する内科治療と外科治療まで幅広く実践し、毛髪研究、教育も積極的に行っている。
葉酸が髪に良いと聞いたことがあるかもしれませんが、本当に効果があるのか疑問に思う人も多いでしょう。
葉酸は薄毛を気にする人は特に積極的に摂るべき栄養素で、髪を健やかに保つことに繋がる嬉しい効果が複数あります。
この記事では葉酸の摂取で期待できる髪への効果と、葉酸を多く含む食材をまとめました。葉酸を取り入れてみようか検討している人は、参考にしてみてください。
目次
葉酸の摂取で期待できる髪への効果
葉酸は細胞の生産や増殖、赤血球の形成やタンパク質の生成・合成に、深く関わっている栄養素です。
髪に関連する葉酸の期待できる効果は、以下になります。
・抜け毛予防・改善
・ストレス緩和
それぞれ詳しく解説していきます。
抜け毛予防・改善
(出典:(1)e-ヘルスネット 貧血の予防には、まずは普段の食生活を見直そう)
葉酸はビタミンB12と共に新しい血液を作り出す栄養素です。葉酸の造血作用により全身の血行が促進され、髪に必要な栄養素がきちんと行き渡るようになります。
髪に必要な栄養素が行き渡りやすくなることで、頭皮トラブルの可能性を下げる効果が期待できるでしょう。
ストレス緩和
(出典:(2)こころとからだの免疫学)
葉酸には幸せホルモンのセロトニンを作る働きがあり、ストレス緩和に有効です。ストレスは髪にとって大敵なので、髪のためにも葉酸は積極的に摂るべきと言えます。
ストレスが髪に良くないのは、頭皮が血行不良になってしまうからです。血行不良だと髪に十分な栄養が行き渡りづらくなり、健やかな髪が生えてきにくくなります。
ストレス緩和に役立つ葉酸を摂取することは、髪が健やかに育ちやすい環境作りに繋がるのです。
葉酸を多く含む食材
葉酸は体の中で作れない栄養素なため、食べ物から摂る必要があります。葉酸を多く含む食材は以下のとおりです。
・ほうれん草
・アスパラガス
・ブロッコリー
・枝豆
・納豆
・レバー
・焼き海苔
・イチゴなど
葉酸は特に葉物野菜に多く含まれています。熱に弱く調理法によっては約50%が分解されてしまうため、サラダにして食べるのがおすすめです。
温かい状態で摂りたいのであれば、スープなどまるごと食べられる調理法にしましょう。
葉酸と併せて積極的に摂りたい栄養素
ここでは、葉酸と併せて摂りたい栄養素をご紹介します。
亜鉛
(出典:(3)頭髪外来における内服・外用による男女の発毛治療)
葉酸を体内に取り込むには、酵素の働きが必要です。亜鉛には酵素の働きをサポートする作用があるので、葉酸と一緒に摂ることで効率よく吸収されます。
また亜鉛は、髪の主成分であるケラチンの合成に欠かせないので、薄毛対策としても積極的に摂るべきと言えます。
ビタミンC
(出典:(4)血液透析患者における食事摂取状況と血清亜鉛濃度との関連)
ビタミンCには亜鉛の吸収をサポートする働きがあるので、亜鉛と併せて摂るのがおすすめです。
ビタミンCは主に野菜や果物に多く含まれています。ビタミンCが摂取できる食材は、パプリカやブロッコリー、キウイフルーツやオレンジなどが挙げられます。
ビタミンB1
(出典:(5)亜鉛代謝に及ぼすビタミンB1の影響(第12回大会研究発表要旨))
ビタミンB1も亜鉛の働きを助ける栄養素です。そのため、積極的に摂るように心がけましょう。
ビタミンB1が豊富に含まれている食材は、豚肉や全粒穀物、ナッツやカリフラワーなどです。
ビタミンB12
(出典:(6)ヘモグロビン生成とビタミン B_< 12>(第 84 回協議会研究発表要旨))
ビタミンB12は葉酸と協力して、赤血球のヘモグロビン合成を助ける栄養素です。
ビタミンB12が不足していると、いくら葉酸を摂ってもその恩恵を十分に受けられません。葉酸の代謝サイクルの最終段階で必要となる栄養素なので、積極的に摂りましょう。
ビタミンB12が不足すると、赤血球の働きを阻害してしまいます。細胞に酸素を届ける働きが弱まってしまい、髪の毛が弱るので不足しないように気をつけましょう。
ビタミンB12は、野菜にはほとんど含まれていません。野菜中心の生活だと不足しやすいので、当てはまる人は気をつけましょう。
葉酸の過剰摂取には注意
(出典:(7)MSD マニュアル プロフェッショナル版 ビタミン)
髪の毛を健やかに保つために積極的に摂りたい葉酸ですが、摂りすぎには注意が必要です。もしビタミンB12欠乏症による悪性貧血になっている場合、診断が難しくなる恐れがあります。
葉酸の1日あたりの推奨摂取量は、18〜70歳までの男性は400㎍です。葉酸を摂取する際は、1日あたりの上限量を超えないよう気をつけましょう。
葉酸をサプリメントで摂る場合は、特に注意が必要です。食べ物で葉酸を摂る場合の吸収率は半分程度ですが、サプリメントだと吸収率が高くなります。
目安量を守らないと過剰に吸収されやすくなるため、十分注意してください。
葉酸は健やかな髪作りに効果的!日々の食事に取り入れよう
葉酸は抜け毛予防の効果だけなく、ストレス緩和や肝機能の活性化も期待でき、薄毛対策として有効です。髪を健やかに保つために意識的に摂りましょう。
葉酸は体内では作られないため、食べ物やサプリメントから摂る必要があります。より高い効果を期待する人は、葉酸の働きをサポートする栄養素も併せて摂るのがおすすめです。
薄毛対策の一つとして、ぜひ取り入れてみてください。
文献
1).e-ヘルスネット 厚生労働省
2).心身健康科学 8巻2号 2012年
3).WAARM Journal, 2018; 1: 40–42
4).透析会誌 47( 7 ):427~433,2014
5).The Vitamin Society of Japan
6).The Vitamin Society of Japan
7).MSD マニュアル プロフェッショナル版 / 09. 栄養障害 > ビタミン欠乏症,依存症,および中毒 > ビタミンの概要
監修者紹介
- 佐藤明男
- 東京メモリアルクリニック理事長
■ プロフィール
1957年新潟県生まれ。北里大学医学部卒業。
1998年、厚生省(当時) 高度先進医療推進事業でオックスフォード大学医学部客員研究員として英国に国費留学し、帰国後、東京メモリアルクリニック・平山副院長を経て院長に就任。医療法人TMC理事長を兼任。これまで10,000人を超えるAGA(男性型脱毛症)患者を治療してきた実績を持つ、頭髪治療の第一人者。
■論文・出版情報
2007年 『医療的育毛革命』
2009年 『なぜグリーン車にはハゲが多いのか』