監修者紹介
- 佐藤明男
- 東京メモリアルクリニック理事長
さとう美容クリニック院長, 北里大学医学部客員教授, 日本形成外科学会専攻医, 日本臨床毛髪学会理事, 日本先進医師会特定認定再生医療委員会委員長, SKIファーマ株式会社副社長
頭髪に関する内科治療と外科治療まで幅広く実践し、毛髪研究、教育も積極的に行っている。
頭皮がどういった仕組みで、再生しているのか気になる人も多いのではないでしょうか。頭皮の再生の仕組みを知れば、頭皮環境を改善できる可能性があります。
そこでこの記事では、頭皮が再生していく仕組みや、再生サイクルを整えるコツを紹介します。
頭皮の環境を整えたい方はぜひ参考にしてみてください。
頭皮の再生の仕組み
まずは頭皮の再生(ターンオーバー)の仕組みについて解説します。
頭皮の構造
(出典:(1)基礎化粧品と皮膚(Ⅰ))
頭皮の構造は、他の皮膚と同じで、再生の仕組みも同様です。
皮膚は、大きく分けて表皮・真皮・皮下組織の3層構造になっています。
そのうち、頭皮の再生が行われているのは、表皮です。表皮は、下から順に基底層、有棘層 (ゆうきょくそう) 、顆粒層、角質層とさらに4つに分かれています。
頭皮の再生の流れ
(出典:(2)基礎化粧品と皮膚(Ⅰ))
頭皮は細胞分裂によって、一定の周期で生まれ変わっており、これをターンオーバーと呼びます。正常なターンオーバーの周期は、約4週間 (約28日間) です。
ターンオーバーは表皮の1番下にある基底層から始まります。
基底層で生まれた細胞が分裂を起こした後、有棘層、顆粒層、角質層と少しずつ上の層に押し出されていきます。角質層まで14日ほどかけて到達した後、さらに14日ほどで垢となって排出されるのが一連の流れです。
なお、この際に押し出された頭皮の角質がはがれ落ちた垢が、いわゆるフケです。
頭皮の再生が滞るとどうなる?
ターンオーバーが整っているとフケは小さく目立ちませんが、乱れていると角質が多くはがれるため、フケが目立つようになります。
またターンオーバーの乱れは皮膚のバリア機能を低下させ、肌荒れなどの頭皮トラブルを引き起こします。
頭皮環境が悪化すると薄毛にもつながりかねないため、頭皮を健康に保つような生活習慣を心がけましょう。
頭皮の再生サイクルを整えるコツ
頭皮が再生するサイクルを整えるために、押さえておきたいコツを2つ紹介します。
ビタミンを適切にとる
(出典:(3)若年女性の肌状態と栄養素等摂取,代謝, 自律神経活動の関連)
頭皮の再生サイクルを整えるためにはビタミンを適切に摂取しましょう。中でも、ビタミンAやビタミンB1,2を摂取するのがおすすめです。
食生活が偏ってしまいがちな人は、ターンオーバーを整えるためにも、意識的にこれらの栄養素をとるようにしましょう。
ストレスを溜めない
(出典:(4)若年女性の肌状態と栄養素等摂取,代謝, 自律神経活動の関連)
ストレスが溜まる環境下では、頭皮の再生サイクルが遅れてしまいます。ターンオーバーを促すには、ストレスを溜めすぎずに、定期的に発散しなければなりません。
気分転換できる時間を定期的に設ける、悩みは誰かに相談するなど、自分にあったストレス発散法を見つけてみてください。
頭皮の再生サイクルを整えて環境改善を
頭皮はその他の皮膚と同様、約28日で再生しています。このサイクルが乱れてしまうと頭皮のトラブルにつながりかねません。
栄養やストレスに気をつけて、頭皮の再生サイクルを整えることを意識してみてください。
文献
1). 2). 化粧品講座(第II講)/P.32-35
3). 4). 日本栄養・食糧学会誌 第63巻 第6号 263ー270
監修者紹介
- 佐藤明男
- 東京メモリアルクリニック理事長
■ プロフィール
1957年新潟県生まれ。北里大学医学部卒業。
1998年、厚生省(当時) 高度先進医療推進事業でオックスフォード大学医学部客員研究員として英国に国費留学し、帰国後、東京メモリアルクリニック・平山副院長を経て院長に就任。医療法人TMC理事長を兼任。これまで10,000人を超えるAGA(男性型脱毛症)患者を治療してきた実績を持つ、頭髪治療の第一人者。
■論文・出版情報
2007年 『医療的育毛革命』
2009年 『なぜグリーン車にはハゲが多いのか』