メニュー


AGAの見分け方とは?発症の要因や治療方法も解説

2023.01.16

監修者紹介

佐藤明男

佐藤明男
東京メモリアルクリニック理事長

さとう美容クリニック院長, 北里大学医学部客員教授, 日本形成外科学会専攻医, 日本臨床毛髪学会理事, 日本先進医師会特定認定再生医療委員会委員長, SKIファーマ株式会社副社長
頭髪に関する内科治療と外科治療まで幅広く実践し、毛髪研究、教育も積極的に行っている。

以前よりも抜け毛が増えた、髪が細くなりボリュームがダウンしたなどと感じるようであれば、AGA (男性型脱毛症) の影響かもしれません。

AGAによる薄毛の場合は、脱毛がどんどん進行してしまうので早めの対処が肝心です。

本記事ではAGA発症の要因やAGAかどうかの見分け方、AGAの治療を解説します。薄毛が気になり抜け毛を予防したい人は、ぜひ参考にしてください。

AGA発症の要因とは?

(出典:(1)男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版)

AGAは思春期以降の男性に多く見られる脱毛症です。発症すると毛周期が短縮化して髪が細く短くなり薄毛が進行していきます。

AGAを引き起こす要因に大きくかかわっているのが、男性ホルモンです

睾丸から分泌されている男性ホルモンのテストステロンが、頭皮などに存在する還元酵素の5αリダクターゼと結びつくと、ジヒドロテストステロンと呼ばれるもう一つの男性ホルモンに転換されます。

ジヒドロテストステロンが男性の前頭部や頭頂部にある男性ホルモン受容体と結合すると脱毛因子が増加し、毛周期の短縮化を引き起こしてしまうのです

ジヒドロテストステロンの感受性が高い方がヘアサイクル (毛周期) は短縮化し、髪の成長に影響をおよぼしてしまいます。

AGAの見分け方

AGAの症状には特徴があり、髪や抜け毛の状態をじっくりと確認することで、AGAが疑わしいとわかる場合もあります。

そこでここでは、AGAかどうかの見分け方のポイントを解説します。

以前に比べて抜け毛の量が異常に増えた

(出典:(2)毛と毛包の解剖・毛髪異常(AGA))

<u><em>以前に比べて1日の抜け毛の本数が急激に増えた場合は、AGAの発症を疑ったほうがよいかもしれません</em></u>。

髪は成長期・退行期・休止期のヘアサイクルを繰り返しながら成長して自然に抜け落ち、新しい髪が生えてきます。

成長期 2〜6年 新しい髪が作られ、古い髪が自然に抜けていく期間
退行期 2〜3週間 毛乳頭細胞の活動が弱くなる期間
休止期 3〜4カ月 毛乳頭細胞の活動が休止する期間

AGAを発症すると、成長期の期間が1年程度と極端に短くなります。その影響で髪が十分に育つ前に抜け落ちてしまうのです。

正常なヘアサイクルでも1日に50〜100本の抜け毛が生じます。しかしシャンプーをしているときに排水溝にやたらと抜け毛が溜まるなど、明らかに100本以上抜けていると感じる場合はAGAが疑わしいです

ただし、日本人は夏から秋に毛周期による頭髪の生え変わりが多くなり、通常より多くの抜け毛を起こすことがわかっています。

髪が弱々しくなった

(出典:(3)毛と毛包の解剖・毛髪異常(AGA))

髪のハリやコシが無い、髪が細くなったなどもAGAの特徴です

以前に比べてヘアセットがしづらくなった、セットしてもすぐに崩れてしまうなどのケースも、AGAの影響が考えられます。

生え際や頭頂部の毛が薄くなった

(出典:(4)男性型脱毛症と育毛有効成分)

AGAによる薄毛では、生え際や頭頂部から髪が抜けていくケースが多いです。薄毛や抜け毛が気になる人は、生え際やつむじ周辺の状態をチェックしてみましょう。

AGAの進行パターンは大きく分けて以下の3つがあります。

・前頭部から薄くなるU字型
・生え際から薄くなるM字型
・頭頂部から薄くなるO字型

薄毛の症状が3つのうちのいずれかに当てはまるようであれば、AGAが進行している可能性が考えられます。それぞれの症状の特徴を見ていきましょう。

前頭部から薄くなるU字型

U字型は生え際から徐々に髪が薄くなり、つむじ周辺まで薄毛が進行するパターンです。真上から頭部を見たとき、髪がU字型に見えます。

生え際全体が後退して額が広くなるため、比較的自分で気づきやすいでしょう。

生え際から薄くなるM字型

M字型は額の中央部を残して、こめかみあたりから薄くなっている状態です。正面から見ると髪の生え際がM字型のように見えます。

生え際の見えにくい部分が少しずつ後退していくため、なかなか気づかないことも多いです。

頭頂部から薄くなるO字型

O字型はつむじ周辺の頭頂部から薄毛が円形に広がっている状態です。真上から頭部を見たとき、髪がO字型に見えます。

正面から鏡で見てもわかりにくく、人に指摘されて気づくことも少なくありません。

頭皮が脂っぽくなった

(出典:(5)男性ホルモンの脂腺細胞に及ぼす影響について)

AGA発症に関与する男性ホルモンには、皮脂の分泌を促す作用があると考えられています。そのためAGAを発症すると頭皮がベタつくことがあります

ただし頭皮が脂っぽくなる原因が必ずしもAGAであるとは限りません。皮膚疾患など、他の要因の可能性も十分にあり得ます。AGAかどうかを見極めるためには、抜け毛の状態なども考慮して総合的に判断することが大切です。

AGAの治療方法とは?

AGAの治療方法は大きく分けて、以下の3つがあります。

・内服薬による治療
・外用薬による治療
・植毛による治療

内服薬による治療

(出典:(6)男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版)

一般的なAGAの治療方法は、内服薬による投薬治療です。投薬治療に使用する薬には、フィナステリドデュタステリドがあります。どちらも抜け毛を抑制するのに有効な治療薬です。

フィナステリドにはAGA発症の要因となる、II型5αリダクターゼを阻害する働きがあります

デュタステリドも5αリダクターゼを阻害する治療薬ですが、II型5αリダクターゼだけでなく、I型5αリダクターゼの働きも阻害します

AGAの進行が重度の人、かつ薄毛が広範囲の人はデュタステリドを処方されることが多いです。

フィナステリドもデュタステリドも厚生労働省に承認されている医薬品で、AGA治療における有効性と安全性が確認されています。

外用薬による治療

(出典:(7)男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版)
(出典:(8)ミノキシジルの発毛作用について)

AGA治療にはミノキシジルと呼ばれる、泡タイプや液タイプの外用薬もよく使用されています。

ミノキシジルは発毛を促進する働きがある治療薬です。頭皮に塗布することで毛母細胞が刺激され、細胞分裂が活発になることで髪の成長が促されます。

また、血流改善効果があるのもミノキシジルの特徴です。頭皮の血流が促されることで髪に必要な栄養が行き届きやすくなるので、健やかな髪の成長が期待できます。

AGAには濃度5%のミノキシジルが効果的とされています。日本皮膚科学会のガイドラインにおいて推奨度はAランクです。より高い薄毛改善効果が得られやすいという理由から、内服薬と併用することも多いです。

植毛による治療

(出典:(9)男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版)

AGAがかなり進行していて、内服薬や外用薬での治療効果が見込めない場合は、植毛によって薄毛の改善を図ります。植毛には「自毛植毛」「人工毛植毛」のふたつがあります。

自毛植毛は、自分の髪を毛包ごと薄毛部分に移植する方法です。自分の髪を使用し、生着率が82.5%ほどです。*9

人工毛植毛とは、合成繊維でできた人工毛を薄毛部分に植える方法のことです。生体は人工物を異物と認識し、炎症反応を起こします。ISHRSという世界植毛学会では人工毛植毛を禁止していますし、医学的にもおすすめできません。

治療以外にできる薄毛対策

原因がAGAの場合もそうでない場合も、薄毛の対策としては、生活習慣の改善が重要です。

・栄養バランスのとれた食事をする
・十分な睡眠をとる
・定期的に運動する

頭皮環境を改善したり、毛髪の成長に必要な栄養を摂取したりして髪の生えやすい環境を作れるようにしましょう。
 

合わせて読みたい

抜け毛の原因は頭皮環境のせい?効果的な対策方法も徹底解説

続きを読む

早めの対策でAGAの進行を防ごう!

AGAは男性に多く見られる脱毛症で、年齢が若くても発症します。以前よりも髪が薄くなったと感じたときは、まず抜け毛の量や頭皮の状態をチェックしてみましょう。

AGAの治療は内服薬や外用薬による投薬治療が一般的ですが、抜け毛や薄毛がかなり進行している場合は、植毛による治療方法の選択肢もあります。

また、薄毛の原因にかかわらず、頭皮環境の改善が重要です。生活習慣の改善をあわせて行うとよいでしょう。
 

文献

 
1).6).7).9).日皮会誌:127(13),2017(平成29)P2765-2777
2).3).日本香粧品学会誌/42 巻 (2018) 2 号/ p. 93-97
4).油化学/44 巻 (1995) 4 号
5).日皮会誌:102(1),47一50,1992(平4)P49
8).日本薬理学雑誌/119 巻 (2002) 3 号

監修者紹介

佐藤明男

佐藤明男
東京メモリアルクリニック理事長

■ プロフィール
1957年新潟県生まれ。北里大学医学部卒業。
1998年、厚生省(当時) 高度先進医療推進事業でオックスフォード大学医学部客員研究員として英国に国費留学し、帰国後、東京メモリアルクリニック・平山副院長を経て院長に就任。医療法人TMC理事長を兼任。これまで10,000人を超えるAGA(男性型脱毛症)患者を治療してきた実績を持つ、頭髪治療の第一人者。
■論文・出版情報
2007年 『医療的育毛革命』
2009年 『なぜグリーン車にはハゲが多いのか』

SNSで共有する

  • X(旧Twitter)
  • facebook
  • はてなブックマーク