監修者紹介
- 佐藤明男
- 東京メモリアルクリニック理事長
さとう美容クリニック院長, 北里大学医学部客員教授, 日本形成外科学会専攻医, 日本臨床毛髪学会理事, 日本先進医師会特定認定再生医療委員会委員長, SKIファーマ株式会社副社長
頭髪に関する内科治療と外科治療まで幅広く実践し、毛髪研究、教育も積極的に行っている。
薄毛が気になってくると、色々なヘアケア製品を使用しながら対処していくと思います。その中でも特に毎日使うシャンプーは大切です。ご自身に合ったシャンプーを慎重に選ぶ必要があるでしょう。
本記事では薄毛の原因や、悪化させないために期待できる育毛シャンプーの選び方をご紹介します。それぞれの効果の違いを比較していきます。
ご自身に合ったシャンプー選びとともに、正しい髪の洗い方をマスターして育毛対策をしていきましょう。
目次
薄毛の原因
(出典:(1)毛と毛包の解剖・毛髪異常(AGA))
薄毛を誘発してしまう原因は様々あり、人それぞれ異なります。
男性の薄毛で最も多い原因の一つにAGA (男性型脱毛症) があげられます。薄毛を誘発する男性ホルモンが異常に分泌されてしまい、若い方でも発症してしまうのです。
他にも血行不良を引き起こすストレスや不規則な生活習慣、頭皮環境の乱れなどもあげられるでしょう。血行不良は、抜けにくい髪を作るために必要な栄養や酸素を取り入れるのを妨げます。
育毛シャンプーで期待できる薄毛への効果
育毛シャンプーを使用せずとも、今まで使っていたシャンプーで十分ではないかと考える方もおられるかもしれません。
しかし育毛シャンプーは一般のシャンプーと違い、薄毛に特化した成分が多く配合されています。例えば血行を促進させたり、細胞を活性化させたり、頭皮環境を整えてくれたりします。
ご自身の薄毛の原因を見極めて、状況に合わせて選びましょう。
薄毛に悩む男性向け育毛シャンプーの選び方
ノンシリコンシャンプーを選ぶ
シャンプーにはシリコン入りとノンシリコンがあるのをご存じでしょうか。
シリコンとは科学的に処理した成分により、髪のキューティクルを保護してくれます。一見良さそうに思える成分ですが、しっかり落とさないと頭皮に負担がかかり薄毛を誘発してしまう可能性があります。
育毛剤を使用している方は、シリコンが育毛剤の効果を妨げてしまう場合もありますので注意が必要です。
薄毛が気になる方は、ノンシリコンシャンプーを選ぶようにしてみてください。
頭皮トラブルには「医薬部外品」を選ぶ
シャンプーの中には化粧品シャンプーと医薬部外品があります。
化粧品シャンプーは、髪のツヤや手触りなどの美しい髪を作り出す成分が配合されています。薄毛を防ぐためのものではありません。
それとは逆に医薬部外品シャンプーは、頭皮環境を整えてくれる成分が多く含まれているため、強い髪を作る助けとなります。もちろん人によって効果の感じ方は違いますが、化粧品シャンプーよりも薄毛に特化しています。
メーカーによって成分が違うため、有効成分をよく確認してから購入しましょう。
頭皮に負担のかからない洗浄強度の商品を選ぶ
(出典:(2)次世代ニーズを予測するための解析手法の研究~シャンプー開発を例として~)
頭皮は摩擦や刺激に弱いものです。薄毛が気になる方の頭皮は特に弱くなっているでしょう。
しかも毎日使用するシャンプーですから、選ぶ際には必要な脂まで落としてしまわぬよう負担がかからない洗浄強度の商品を選んでください。
負担のかかりにくい洗浄強度のシャンプーは、アミノ酸系やベタイン系がおすすめです。どちらの成分も刺激を最小限にしつつ、汚れはしっかり落としてくれます。
アミノ酸は髪と同じ成分でできているため、負担が少なく皮脂を落としすぎることがありません。他のシャンプーと比べて乾燥やフケに特化しています。
ベタイン系シャンプーは自然由来ですので、ベビーシャンプーにも使用されているほどです。低刺激で保湿力があり、安全性も高いため人気があります。
正しい髪の洗い方
1.ブラッシングする
シャンプー時に抜け毛が多くて困ると言われる方がおられます。そうした方は髪がもつれて抜けている可能性がありますので、必ずシャンプー前にブラッシングをして、もつれをといてあげましょう。
他にもシャンプー前のブラッシングには、私たちの目には見えないほこりやゴミなどの汚れを落とし、シャンプーの成分を行き渡らせる効果もあります。
2.お湯で予洗いする
お湯は38度〜40度が適温です。熱いお湯が好きだという方もいますが、頭皮に刺激を与えないためにはぬるま湯程度がよいでしょう。
シャンプーを付ける前に、ブラッシングで落としきれなかった汚れをお湯で洗い流します。ただ髪をお湯で濡らすのではなく、指の腹部分を使って優しくマッサージしながら洗い流してください。
3.シャンプーをしっかり泡立てて使う
シャンプーをそのまま頭皮に付けて洗う方が多いと思いますが、そのままだと頭皮に強い刺激を与えてしまいます。
刺激を極力抑えて洗うためには一度手の平に適量のシャンプーを出して、少しずつ水を含めながら泡立てて使いましょう。慣れないと泡立ちにくいこともありますが、その場合には泡立てネットなどを使用すると綺麗で、きめ細やかな泡ができあがります。
4.頭皮をマッサージするように洗う
泡立ったシャンプーを頭皮に乗せたら、マッサージをするように洗っていきましょう。
頭皮のマッサージには血行を良くする効果があります。血行が良くなるとハリやコシのある強い髪を作りだしてくれるでしょう。
しかしあまりにも強い力でマッサージしてしまうと、摩擦が生じ逆効果になりますので気をつけてください。指の腹部分で優しくマッサージしましょう。
5.すすぎ残しがないように洗い流す
頭皮をしっかりと洗えたと思ったら、すすぎ残しがないように洗い流しましょう。
すすぎが不十分でシャンプーが頭皮に残ってしまうと、フケやかゆみの原因になります。残ったシャンプーが雑菌を増やす原因となり、薄毛を促進させることにもなりかねません。
すすぐ際にも強い力で行うのではなく、頭皮負担をかけないようにゆっくり優しく洗い流しましょう。
6.ドライヤーで乾かす
特に短い髪の男性はドライヤーを使わず、自然乾燥で済ます方もおられるでしょう。しかし自然乾燥は髪を守るキューティクルを破壊し、細くて弱い髪質へとなってしまうことがあります。
抜けにくい髪を作るためにも、毎回タオルドライをし、ドライヤーで根元からしっかり乾かしましょう。ドライヤーをかける際には低い温度で、頭皮から30cmほど離してください。
薄毛対策におすすめなシャンプーに関するまとめ
薄毛対策におすすめの育毛シャンプーは通常のシャンプーと違い、血行を促進させたり、細胞を活性化させたり、頭皮環境を整えてくれたりして発毛を促してくれることが分かりました。
育毛シャンプーの効果はそれぞれ違いますから、薄毛の原因を突き止め、それに特化した成分を選ぶようにしましょう。
ご自身に合ったシャンプーを見つけたら、洗う前にブラッシングをしたり、よく洗い流したり、しっかり乾かしたりしつつ正しい髪の洗い方も心がけてください。
文献
1).日本香粧品学会誌/42 巻 (2018) 2 号/ p. 93-97
2).情報の科学と技術/67 巻 (2017) 4 号/書誌
監修者紹介
- 佐藤明男
- 東京メモリアルクリニック理事長
■ プロフィール
1957年新潟県生まれ。北里大学医学部卒業。
1998年、厚生省(当時) 高度先進医療推進事業でオックスフォード大学医学部客員研究員として英国に国費留学し、帰国後、東京メモリアルクリニック・平山副院長を経て院長に就任。医療法人TMC理事長を兼任。これまで10,000人を超えるAGA(男性型脱毛症)患者を治療してきた実績を持つ、頭髪治療の第一人者。
■論文・出版情報
2007年 『医療的育毛革命』
2009年 『なぜグリーン車にはハゲが多いのか』