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汗は薄毛の直接的な原因ではない!勘違いされやすい理由を解説

2023.02.28

監修者紹介

佐藤明男

佐藤明男
東京メモリアルクリニック理事長

さとう美容クリニック院長, 北里大学医学部客員教授, 日本形成外科学会専攻医, 日本臨床毛髪学会理事, 日本先進医師会特定認定再生医療委員会委員長, SKIファーマ株式会社副社長
頭髪に関する内科治療と外科治療まで幅広く実践し、毛髪研究、教育も積極的に行っている。

「汗は薄毛の原因になるの?」などの疑問を持つ人もいるのではないでしょうか。

汗は薄毛の原因になると思いがちですが、実は直接的な原因にはなりません。しかし頭皮トラブルの原因にはなるので、頭皮を清潔に保つことが大切です。

この記事では汗が薄毛の原因にならない理由や、頭皮を清潔に保つ方法を紹介します。

汗は薄毛の直接的な原因にならない

(出典:(1)洗浄料とその作用)

汗をかくと薄毛になると聞いたことがあるかもしれませんが、汗は薄毛の直接的な原因にはなりません。

  • 汗と皮脂が混ざり毛穴に詰まっても薄毛にならない
  • 汗をかいて頭皮が蒸れても薄毛の原因にならない

その理由をそれぞれ説明していきます。

汗と皮脂が混ざり毛穴に詰まっても薄毛にならない

汗と皮脂が混ざり毛穴に詰まっても、薄毛の原因にはなりません。

毛穴に皮脂が詰まっていても毛の発育に問題はなく、汗が頭皮に残っていても毛の成長に影響しません。

ただし汗を放置すると雑菌が繁殖するため、頭皮トラブルに発展する可能性はあります。

汗による頭皮の蒸れも薄毛の原因にならない

汗による頭皮の蒸れも薄毛の直接的な原因になるとは言い切れないため、気にしすぎる必要はありません。

ただし汗をかいて頭皮が蒸れると雑菌が繁殖しやすくなるため、赤みやかゆみなどの症状が発生しやすくなります。発生したかゆみが原因で、頭皮を強くかくと抜け毛に繋がる可能性があります。

他にも雑菌が繁殖すると臭いの原因になるため、頭皮を清潔に保ち雑菌の繁殖を抑えることは大切です。

薄毛が進行する原因のほとんどはAGA

(出典:(2)毛と毛包の解剖・毛髪異常(AGA))

薄毛のほとんどは、AGA(男性型脱毛症)が原因です。AGAは男性ホルモンが髪の成長を邪魔して起こるもので、男性ホルモンのジヒドロテストステロンが原因になっています。

ジヒドロテストステロンが毛母細胞に働きかけると、髪の毛の成長を阻害して薄毛は進行します。AGAの進行を防ぐには、ジヒドロテストステロンの働きを抑えなければなりません。

ジヒドロテストステロンは、テストステロンと呼ばれる別の男性ホルモンに5αリダクターゼが働くと作られるため、AGA治療では5αリダクターゼの働きを抑える薬剤治療を行うケースが多いです。

頭皮を清潔に保つ方法

頭皮を清潔に保つことで頭皮トラブルを避けられ、抜け毛対策に繋がります。頭皮を清潔に保つ方法を知っておきましょう。

汗をこまめに拭く

汗をこまめに拭くと、雑菌の繁殖を抑えられる可能性が高くなります。普段から汗をかく人や気温が高い日はタオルを持ち歩き、汗をかいたら早めに拭きましょう。

帽子を被る人は、季節を問わずタオルを持ち歩くと良いです。帽子を被ると頭皮が蒸れやすくなるため、1時間ごとに汗をタオルで拭いてください。

ただし汗の量には個人差があるため、汗をかきやすい人はこまめに拭いて蒸れないように気をつけましょう。

丁寧にシャワーで洗う

シャワーを丁寧に行うことで、汗と混ざり合った皮脂やスタイリング剤を落とせます。

また雑菌の繁殖も抑えられるため、汗かきの人や夏場は普段より丁寧にシャワーを行いましょう。

シャワーの手順は上記のとおりです。

  • 軽くブラッシングをする
  • ぬるま湯で予洗いする
  • 手のひらでシャンプをよく泡だて髪につける
  • こめかみから頭頂部に向けて指を動かす
  • おでこから頭頂部に向けて指を動かす
  • うなじから頭頂部に向けて指を動かす
  • 頭頂部のマッサージをする
  • 丁寧にすすぐ

手順1.簡単にブラッシングをする

シャワーを浴びるときは、簡単に手でブラッシングしましょう。ブラシではなく手で行うことで、抜け毛や切れ毛の可能性を減らせます。

スタイリング剤を使っている人は、ブラッシングを丁寧に行ってください。

手順2.ぬるま湯で予洗いする

38度程度のぬるま湯で予洗いを1分程度行いましょう。

予洗いをすることで髪に付いたホコリや毛穴に詰まった汚れが落ちやすくなるので、シャンプーの効果が高まります。

手順3.手のひらでシャンプをよく泡だて髪につける

シャンプーは、手のひらでよく泡立ててから髪につけてください。

シャンプー液を直接髪の毛につけて泡立てると、摩擦で髪の毛を痛めることがあります。

手順4.こめかみから頭頂部に向けて指を動かす

こめかみから頭頂部に向けて、指を動かしながら洗ってください。

洗髪時は、爪を立てて洗わないように注意しましょう。濡れた頭皮は傷つきやすいため、爪を立ててしまうと頭皮トラブルの原因になります。

手順5.おでこから頭頂部に向けて指を動かす

おでこから頭頂部に向けて、マッサージするように優しく洗いましょう。頭皮にまんべんなく泡が行き渡るようにイメージすると洗い残しを防げます。

手順6.うなじから頭頂部に向けて指を動かす

うなじから頭頂部に向けて指を動かして洗ってください。力を入れすぎず、頭皮をほぐすように優しく洗うと頭皮への負担を抑えられます。

手順7.頭頂部のマッサージをする

頭頂部を指で優しく包み込み、マッサージしながら洗ってください。力を入れすぎると頭皮に負担がかかるため、力を入れないでマッサージしましょう。

手順8.丁寧にすすぐ

すすぎは丁寧に行ってください。指にシャンプーの感触が残らなくなるまで、しっかりと洗い落としましょう。

シャンプーの成分が頭皮に残ると、かゆみや炎症の原因になります。

頭皮ケアシャンプーを使う

(出典:(3)殺菌剤の肌上への残存性を高める処方技術の開発,(4)洗浄料とその作用)

炎症を抑える成分や、保湿成分が含まれている頭皮ケアシャンプーを使うと、汗のダメージを抑えられます。頭皮トラブルを防ぐためには、早めに頭皮ケアシャンプーを使うことが大切です。

頭皮の悩み 配合成分
臭いが気になる イソプロピルメチルフェノール
かゆみが気になる ピリチオン亜鉛・ピロクトンオラミン・イソプロピルメチルフェノール・グリチルリチン酸・ジカリウム・サリチル

頭皮の悩みによって適した頭皮ケアシャンプーは変わるため、上表を参考に選びましょう。

クリニックで頭皮ケアを行う

クリニックで頭皮の状態をチェックしてきれいにしてもらうことで、頭皮トラブルを未然に防げる可能性が高まります。クリニックに通うペースは月に1回程度で問題ありません。

頭皮トラブルが発生している場合は、原因を特定するためにクリニックで相談しても良いでしょう。

汗で薄毛が目立つときの対策方法

薄毛の人が汗をかくと髪が束になり地肌が見えるため、薄毛が目立ってしまいます。髪型を変えると薄毛を目立たなくできるため、気になる場合は美容院などで薄毛が目立たない髪型にしてもらいましょう。

薄毛が目立たない程度の短髪や、サイドが短めでトップを高くした髪型にすると薄毛が目立たなくなります。美容師に相談しながら髪型を決めてください。

汗は薄毛の直接的な原因にならないが頭皮ケアは必須

汗は薄毛の直接的な原因にはなりません。薄毛の原因のほとんどはAGAのため、薄毛が目立ってきた人はAGAの可能性を疑いましょう。

ただし汗を放置すると頭皮トラブルの原因となり、薄毛を引き起こす要因になりかねないので、頭皮ケアは忘れずに行ってください。

文献

1),4)日本香粧品学会誌 Vol. 42, No. 4, pp. 270–279 (2018)
2).日本香粧品学会誌/42 巻 (2018) 2 号/ p. 93-97
3).日本化粧品技術者会誌/51 巻 (2017) 1 号/P. 33-40

監修者紹介

佐藤明男

佐藤明男
東京メモリアルクリニック理事長

■ プロフィール
1957年新潟県生まれ。北里大学医学部卒業。
1998年、厚生省(当時) 高度先進医療推進事業でオックスフォード大学医学部客員研究員として英国に国費留学し、帰国後、東京メモリアルクリニック・平山副院長を経て院長に就任。医療法人TMC理事長を兼任。これまで10,000人を超えるAGA(男性型脱毛症)患者を治療してきた実績を持つ、頭髪治療の第一人者。
■論文・出版情報
2007年 『医療的育毛革命』
2009年 『なぜグリーン車にはハゲが多いのか』

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