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薄毛はどうやって予防するの?変えるべき生活習慣など

2023.01.23

監修者紹介

小川 惇郎

小川 惇郎
白金台おがわクリニック

日本糖尿病学会糖尿病専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本内分泌学会内分泌代謝科専門医、日本抗加齢医学会抗加齢医学専門医

北里大学医学部卒業後、北里大学内分泌代謝内科へ入局。
平塚共済病院、川崎市立井田病院、北里大メディカルセンターへ出向。
その後、北里大学病院 内分泌代謝内科、NTT東日本関東病院を経て、2017年11月から、白金台おがわクリニック院長を務める。

最近抜け毛が多い、髪の毛が細くなった気がする、あなたもそのように感じたことはありませんか?
薄毛予防は早期に始めることが重要です。

薄毛の原因は1つではありません。もしあなたが薄毛の予防対策を始めるなら、その原因と正しい対策を知っておくことが大切です。

この記事では薄毛に関して知っておきたい知識から、記事を読んですぐにできる簡単な薄毛の予防対策まで項目別に詳しく解説しています。あなたも記事を読んで薄毛対策を始めましょう。

こんな症状が出たら薄毛予防を始めよう

抜け毛の本数が増えてきた

人間の頭皮には約10万本の髪の毛が生えているといわれ、そのうち約0.1%にあたる、平均50本~100本が1日で生え変わりのために脱毛します

しかし日々の抜け毛の量が150本を超える場合は、「異常脱毛」と呼ばれ、薄毛予防を始めるサインかもしれません。

抜けた毛の根元が丸く膨らんでいない

(出典:(1)毛髪再生医療を目指した 毛包原基の大量調製に関する研究)

あなたの抜け毛の根元を観察してみましょう。正常な毛髪は毛の根元が丸く膨らんでいます。

もし毛の根元がいびつな形をしている、ガタガタとした形をしている、直線状の形状をしている場合は異常脱毛の可能性があります

抜け毛が短くて細い

髪の毛が細く短い場合、髪に十分な栄養が行き渡らないまま脱毛をしている、もしくは毛髪サイクルを十分に終えられないまま脱毛している可能性があります。

頭皮が硬くて動かない

(出典:(2)Ritsuko Ehama 「Infuluence of Scalp Problem on Physical Properties of Hair and Their Prevention by Plant Extracts」)

頭皮が硬くなると抜け毛が増えやすくなったり白髪が生えやすくなったりします。その理由は主に血行不良によるもので、頭皮が硬くなると全体に十分な栄養が行き渡らず、髪の毛も栄養不足になってしまいます。

頭皮が硬くなる主な原因は運動不足やストレス、老化、パソコンやスマホの長時間使用などが挙げられ、どれも現代人は起こりやすいでしょう。そのため頭皮を指で触った時に動かない、硬いなどの感触を抱いた方は注意が必要です。

頭の匂いが変わった

(出典:(3)調理と化粧品)

頭の匂いの主な原因は、皮脂などの頭皮からの分泌物、フケ、付着物などの汚れです。頭皮には皮脂腺や汗腺などの分泌器官が多く存在し、体の中でも皮脂の分泌が盛んな部位です。

そこに皮脂を栄養とする雑菌が繁殖すると、匂いを発するようになります。頭皮の匂いが変わる原因は、加齢によるものの可能性もありますが、頭皮の病気や異常が起きている場合も匂いが強くなります。

放置していると薄毛や抜け毛に繋がる場合もあり、早期に正しいケアが必要です。

男性の薄毛の予防方法〜生活習慣

良質で十分な量の睡眠をとる

(出典:(4)睡眠関連ホルモンの計測 )

睡眠は日中にダメージを受けた体の細胞を回復するために重要です。

髪の毛も例外ではなく、日中の紫外線、汚れによりダメージを受けた頭皮を回復させるために必要ですし、頭皮や毛髪の成長を促す成長ホルモンは睡眠中にしか分泌されません。

そのため頭皮の環境を整え、健康な髪の毛を生やすためには、しっかりとした睡眠が必要です。

髪に必要な栄養をとる

(出典:(5)日本人の食事摂取基準(2015年版))

健康に髪の毛を成長させるには、髪に必要な栄養分を取ることが大切です。

食生活の乱れは薄毛や抜け毛の起きやすい環境を作ることになりかねません。そのためファーストフードばかりの食事や、大食い、過度なダイエットなどに心当たりがある方は食生活の見直しをしましょう。

適度な運動で血行を促進する

(出典:(6)Ritsuko Ehama 「Infuluence of Scalp Problem on Physical Properties of Hair and Their Prevention by Plant Extracts」)

適度な運動は薄毛の予防に効果的です。運動不足は肥満、筋力の低下、老化の促進、血行不良になりやすく、ひいては毛根の劣化や髪の栄養不足に繋がるでしょう。

運動には自律神経の乱れを整え、ストレス発散、肥満を予防する効果もあります。また血行を促進し新陳代謝が活発になるため、頭皮の血流も良くなり、髪の毛に栄養が行き渡りやすくなる効果があります

まずはウォーキング、ヨガ、ストレッチなどの続けやすいと思えるものを始めてみましょう。

喫煙をやめる

(出典:(7)禁煙科学 vol.9(06),2015.06)

薄毛や抜け毛が気になる方は今すぐ喫煙をやめましょう。喫煙が健康によくないことは周知の事実かとは思いますが、頭皮や髪の毛にとっても例外ではありません。

タバコの中に含まれるニコチンには血管を収縮させる働きがあり、血行不良の原因となります。そのため頭皮から髪の毛に十分な栄養を届けられず、抜け毛や薄毛のリスクを高める可能性があります。

適度にストレスを解消する

(出典:(8)髪の健康を考える〜美しい髪で過ごすには〜)

薄毛を予防するにストレスを溜めないように工夫しましょう。過度なストレスは交感神経を刺激し、頭皮の筋肉を硬く緊張させます。くわえて自律神経やホルモンバランスの乱れを引き起こす原因にもなります。

やがて頭皮の血行不良により髪に十分な栄養が行き渡らない、健康な毛髪サイクルを迎えずに脱毛するなど、薄毛や抜け毛に繋がる可能性があります。そのため運動、趣味、自然に触れる、リラクゼーション効果のある音楽を聴くなど、日々の生活で溜まったストレスは適度に解消するよう心がけましょう。

男性の薄毛の予防方法〜シャンプー

シャンプーの選び方

(出典:(9)洗浄料とその作用)

薬用シャンプーを選ぶ

薬用シャンプーとは医薬部外品に分類されるシャンプーのことです。医薬部外品のシャンプーは一般的なシャンプーに比べ、頭皮 (スカルプ) ケアに適しているといわれています。

薬用シャンプーには有効成分が配合され、フケやかゆみの予防、匂いを抑える、頭のかゆみを抑えるなど、それぞれのお悩みや症状への効果が期待できます。

そのため日頃のスカルプケアには、商品のパッケージや裏面に医薬部外品と記載のある薬用シャンプーを選ぶと良いでしょう。

適切な洗浄力のシャンプーを使う

薄毛や抜け毛対策には髪や頭皮への刺激が少なく、保湿性の高いアミノ酸系のシャンプーがおすすめです。

一概にシャンプーといってもその洗浄力は同じではありません。頭皮の脂や保湿成分を根こそぎ奪ってしまう洗浄力の強いシャンプーは薄毛予防には適していません

脱脂力の強いシャンプーを使うと頭皮の乾燥をまねき、皮脂分泌の増加によるベタつきが起こる原因になります。

正しいシャンプーと頭皮ケアのやり方

健康な髪の毛が育つには頭皮を清潔に保つことが大切です。

まずはシャンプー前に髪の毛をブラッシングしましょう。これには髪の絡みを解き、汚れを浮かせる役割があります。

次に38度~40度のお湯でホコリや汚れを流した後、手のひらにシャンプーを取り、泡立ててから頭に塗布し洗いましょう。この時に絶対にごしごしとこすったり引っかいたりしてはいけません。指の腹で優しくマッサージをするように汚れを落としましょう。

お湯でシャンプーを流す際は、すすぎ残しがないようにしっかりと流してください

仕上げにドライヤーで乾かします。 この時も温風で頭皮や髪が傷まないよう、15cm~20cmほど離して乾かすのがポイントです。

男性の薄毛の予防方法〜マッサージ・育毛剤

薄毛を予防するには、マッサージや育毛剤も併せて行うと、より効果的です。

頭皮のマッサージにより血行がよくなり、さらに毛根に刺激が加わることで新しい髪が育ちやすい環境が作られます。この時必ず指の腹を使い、頭皮を傷つけないように注意しましょう。

育毛剤は、今生えている毛髪にハリやコシを持たせたり、頭皮環境を整えたりすることで健康な太い髪の毛を育てる効果が期待できます

ただしマッサージと育毛剤の効果はすぐに現れるものではありません。そのため毎日コツコツ継続することが大切です。

薄毛に関するQ&A

ワックスを使うと薄毛になるの?

(出典:(10)洗浄料とその作用)

ワックスの使用やワックスの中の成分が、直接薄毛の原因となることはありません

しかしワックスの油分が頭皮に付くと毛穴を詰まらせる原因になり、それにより頭皮に炎症が起きたり、油分に雑菌が繁殖し匂いの原因となったりすることがあります。

ワックスによる頭皮トラブルを避けるためには、使用時に頭皮ではなく毛先に使う、もしくは毎日しっかりと洗い落とすことが大切です。

筋トレをしている人は薄毛になりやすい?

(出典:(11)男性型脱毛–その特性と未来像 Androgenic alopecia–Its characteristics and perspectives)

筋トレをしている人が男性型脱毛症(AGA)や薄毛になりやすいという医学的な根拠はありません。そのため筋トレと薄毛は直接的な因果関係はないと考えられています。

筋トレをしていると薄毛になりやすい、その噂は筋トレで男性ホルモンのテストステロンが増加するという事実からくるものと思われます。

テストステロンは、体内で特殊な酵素によりジヒドロテストステロン (DHT) に変換され、薄毛やAGAを引き起こすことが知られていますが、酵素の量に変わりがなければDHTは生成されず、薄毛の進行やAGAの発症には関与しないのです。

過度なダイエットをすると薄毛になりやすい?

(出典:(12)中村博範 「マウスのタンパク質栄養状態と体毛タンパク質合成の関係について」)

過度なダイエット、特に極端な食事制限を含むダイエットは薄毛の原因になる可能性があります

髪の毛はケラチンというタンパク質でできています。食事でタンパク質が不足すると、髪の毛の元となる材料が不足することになるでしょう。

また髪の毛の成長に必要な栄養分が不足したり、油分を控えることにより頭皮の乾燥を招き、頭皮のかさつきや環境の悪化にも繋がったりするでしょう。

過度な食事制限は控え、髪の毛や頭皮の発育に必要な栄養分を摂取しながらダイエットを行うことが大切です。

わかめを食べると髪が伸びる?

(出典:(13)中村博範 「マウスのタンパク質栄養状態と体毛タンパク質合成の関係について」)

残念ながら、わかめ自体に育毛効果や発毛効果はありません

しかしわかめは髪が成長するのに必要なヨードや亜鉛などのミネラルを豊富に含む食材です。またわかめのぬめり成分の「フコイダン」は髪の発育に良いといわれています。そのためわかめを毎日の食事の中でタンパク質やビタミン、他の栄養素と一緒に取り入れることは髪の成長にとって非常に良いことといえるでしょう。

特に外食ばかりで食生活の偏りがある方や、炭水化物中心の食生活になりがちな方は積極的に取り入れるのがおすすめです。だたし甲状腺の病気を指摘されている方は過剰摂取に注意しましょう。

豆乳は薄毛によいの?

(出典:(14)妊娠と美)

豆乳は薄毛の予防には良いといわれています。豆乳に含まれる大豆イソフラボンのおかげです。

大豆イソフラボンは構造が女性ホルモンに似ており、体の中に入るとそれに似た働きをすることが知られています。

薄毛の一因として、男性ホルモンの働きによるものが挙げられますが、体の中に女性ホルモンに似た大豆イソフラボンを取り入れることで、相対的に男性ホルモンの働きが弱まり、薄毛の予防に繋がるのではないかと考えられています。

帽子をかぶるとハゲやすい?

(出典:(15)洗浄料とその作用)

帽子をかぶると薄毛が進行するという医学的な根拠はありません。帽子の着用は頭皮、毛髪に対してはメリットとデメリットがあります。

まずメリットとしては、日常に浴びる紫外線などの外部刺激によるダメージから頭皮や髪の毛を守れること。

一方長時間着用すると蒸れ、雑菌の繁殖、衛生環境の悪化 、頭部への締め付けによる血行不良などで頭皮によくありません

しかし短時間の着用にとどめ、帽子を脱いだ後しっかりと頭を洗浄すれば、毛髪への影響はほとんどないでしょう。

男性の薄毛の予防方法まとめ

薄毛の原因が1つではないように、その予防方法もどれか1つに特化すれば解決するというものではありません。

シャンプー、運動、食生活、ストレス対策などを総合的に行っていく必要があります。あなたの小さな努力の積み重ねが薄毛の改善に繋がります。あなたもぜひ今から、薄毛対策の小さな一歩を踏み出しましょう。

文献

1).博士論文 横浜国立大学大学院 工学府
2). 6).J. Son. Cosmet. Chem. Jpn. 52(1) : 16-23
3).調理科学/11 巻 (1978) 2 号 / 1978 年 11 巻 2 号 p. 110-115
4).生体医工学 46(2):169-176 解説特集:睡眠の生体計測技術
5).「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書
7).禁煙科学 9巻(2015)-06 P.1~P.14
8).植木理恵:都民公開 講座アンチエイジング 順天堂醫事雑誌.2013:59 :P. 327〜330
9).10).15).日本香粧品学会誌 Vol. 42, No. 4, pp. 270–279 (2018)
11).特集 脱毛性疾患の病態と治療 / 順天堂医学37(4) 1992 年 37巻 4 号 p. 572-586
12).13).川崎医療福祉学会誌 Vol. 22  No. 2 2013 200 − 207
14).女性心身医学/21 巻 (2016-2017) 3 号/P.290-294

監修者紹介

小川 惇郎

小川 惇郎
白金台おがわクリニック

日本糖尿病学会糖尿病専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本内分泌学会内分泌代謝科専門医、日本抗加齢医学会抗加齢医学専門医

北里大学医学部卒業後、北里大学内分泌代謝内科へ入局。
平塚共済病院、川崎市立井田病院、北里大メディカルセンターへ出向。
その後、北里大学病院 内分泌代謝内科、NTT東日本関東病院を経て、2017年11月から、白金台おがわクリニック院長を務める。

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