監修者紹介
- 稲葉 岳也
- いなばクリニック
日本耳鼻咽喉科学会認定 耳鼻咽喉科専門医 日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医
東京慈恵会医科大学卒業後、千葉大学大学院にて医学博士取得。東京慈恵会医科大学附属病院、聖路加国際病院を経て、2004年にいなばクリニックを開業。
皮膚科・形成外科領域のレーザー治療、及びアレルギー疾患の総合的治療が専門です。皮膚科、美容皮膚科、形成外科、美容外科、耳鼻咽喉科、呼吸器内科、アレルギー科を主体として、幅広い視点で総合的な診療を行っております。レーザー機器を導入した医療を行っており、幅広い年齢層を対象としたホームドクターとして、地域密着の診療に尽力しております。
「20代、30代なのにすでに薄毛が気になる…」と思っていませんか?薄毛の男性は30代あたりから増えてきますが、早い人だと20代、30代から薄毛の兆候が現れることもあります。
本記事では20代、30代男性に多い薄毛の原因をピックアップし、今すぐにできる対策方法を紹介していきます。
20代、30代のうちに正しい薄毛対策をすれば、将来の薄毛を予防できる可能性がぐっと高まります。後悔しないようにぜひ早めの薄毛対策を心がけましょう。
目次
20代、30代が薄毛になる原因は?
朝風呂
(出典:(1)洗浄料とその作用)
20代、30代の男性の中には、夜ではなく朝にお風呂やシャワーに入る方もいるでしょう。しかし朝風呂の習慣は、薄毛が気になる方にはおすすめできません。
日中は紫外線を浴びたり汗をかいたり、ちりやほこりがついたりして、頭皮が汚れやすい環境にあります。頭を洗わないまま寝てしまうと、寝ている間に頭皮がダメージを受けてしまい、薄毛の原因になる可能性があります。
お風呂やシャワーはできるだけ1日の終わりに入るようにして、頭皮が清潔な状態で寝られるように工夫しましょう。
整髪料を洗わずに眠ってしまう
(出典:(2)洗浄料とその作用)
整髪料をつけたまま寝てしまうのも、薄毛の原因になります。
ジェルやワックスに含まれる油分は時間が経つにつれて酸化し、肌や毛穴にダメージを与える成分に変化します。また整髪料の種類によっては毛穴が塞がりやすく、髪の健全な成長を阻害してしまう可能性もあります。
20代、30代の頃から頭皮や毛穴に負担をかけていると、将来の薄毛を招くことにもなりかねないので、整髪料はしっかりと落としてから眠るようにしてください。
髪を洗った後に乾かさない
(出典:(3)洗浄料とその作用)
お風呂やシャワーの後、髪が濡れたままの状態で長時間過ごしていると、頭皮が蒸れて雑菌が繁殖しやすくなります。
雑菌が増えると頭皮が荒れたり、フケやかゆみの原因になります。頭皮環境が悪ければ、それだけ薄毛にもなりやすくなるため、髪はきちんとドライヤーで乾かすようにしましょう。
髪が濡れたまま寝るのもNGです。20代、30代のうちは新陳代謝が活発で汗や皮脂も出やすく、もともと雑菌が増えやすいので注意が必要です。
髪のすすぎ残し
(出典:(4)洗浄料とその作用)
シャンプー後のすすぎ残しも20代、30代の薄毛の原因です。シャンプーには洗浄成分である界面活性剤が含まれているため、すすぎ残しがあると、頭皮がダメージを受けて炎症を起こします。
またコンディショナーのすすぎ残しも髪には悪影響です。コンディショナーの成分が毛穴を詰まらせ、薄毛を引き起こす原因になってしまいます。
すすぎには時間をかけ、たっぷりの温水を使ってしっかり洗い流すようにしてください。
爪を立てて頭を洗ってしまう
(出典:(5)毛髪・頭皮に優しい洗浄技術)
20代、30代の男性の中には、頭を洗うときにゴシゴシと爪を立ててしまっている方もいるのではないでしょうか。しかし濡れた状態の頭皮は脆くなっており、力を込めて洗うと頭皮の表面がボロボロに傷ついてしまいます。
頭皮が荒れると、毛穴が詰まったり炎症を起こしたりして抜け毛が起こりやすくなり薄毛の原因になります。
生活習慣が乱れている
(出典:(6)睡眠関連ホルモンの計測)
20代、30代の薄毛では生活習慣の乱れにも気をつける必要があります。睡眠不足や運動不足、過度の飲酒や喫煙、栄養バランスの偏った食事など、生活習慣が乱れていると全身の血行が悪くなります。
血行不良は薄毛の大きな原因です。頭皮に十分な血液と栄養が行き届かなくなれば、健康な髪の毛が生えてこなくなります。
生活習慣が乱れているという自覚のある方は、少しずつでも改善していきましょう。
過度なストレス
(出典:(7)髪の健康を考える〜美しい髪で過ごすには〜)
過度のストレスも20代、30代の薄毛にありがちな原因です。日常的に強いストレスを感じていると、自律神経が緊張して血管が収縮した状態が長くつづきます。
すると頭皮の血流が悪化し、髪の毛を作るために必要な栄養素が毛根まで行き渡らなくなります。またストレスからくる免疫機能の変調によって、円形脱毛症などを引き起こすケースも。
ストレスは髪の大敵です。薄毛を悪化させないためにも、ストレスを上手にコントロールする方法を見つけましょう。
無理なダイエット
(出典:(8)中村博範 「マウスのタンパク質栄養状態と体毛タンパク質合成の )
無理なダイエットも、20代、30代の男性に多く見られる薄毛の原因です。運動などで健康的に痩せる分には問題ありませんが、極端な食事制限などをすると髪に悪影響を及ぼします。
髪の成長に必要な栄養素が不足すると弱々しい毛しか生えてこなくなり、薄毛を進行させてしまいます。ダイエットをするにしても、栄養バランスのとれた食事を心がけて健康的に痩せるようにしてください。
過度なヘアカラーやパーマ
(出典:(9)頭髪化粧品と毛髪)
20代、30代の男性であれば、ヘアカラーやパーマを頻繁にかける方も多いでしょう。しかしヘアカラーやパーマは多かれ少なかれ髪と頭皮に負担をかける行為です。特に短期間に何度も繰り返すと、頭皮が傷んで薄毛につながる可能性があります。
おしゃれのために将来の髪の健康を損ねてしまっては元も子もありません。ヘアカラーやパーマをかけるときは間隔をあけるようにしましょう。
また施術を受ける前に頭皮の状態を美容師さんにチェックしてもらうのもおすすめです。
紫外線対策をしていない
(出典:(10)毛髪の紫外線ダメージ—評価指標とダメージケア—)
頭皮が荒れて薄毛を起こす原因の1つに、紫外線によるダメージがあります。長時間屋外にいる場合や、もともと肌が過敏な方の場合、紫外線対策が必要です。
帽子や日傘を利用するか、頭皮用の日焼け止めを使うようにしましょう。
20代、30代がすべき抜け毛対策とは?
AGAクリニックに通う
(出典:(11)男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版)
20代、30代男性の薄毛の場合、AGAが原因になっている可能性も考えられます。AGAは「男性型脱毛症」とも呼ばれ、男性ホルモンの影響で抜け毛が起こる症状です。
AGAは年齢を重ねるほど発症率が高くなりますが、20代、30代男性でも約1割の人が発症していると言われています。
AGAの場合、体内の男性ホルモンが抜け毛の引き金になっているため、改善するためには病院やクリニックで専門の治療を受ける必要があります。
早めに治療するほどAGAを改善できる可能性が高くなるので、薄毛が気になった時点で受診するようにしましょう。
頭皮マッサージをする
(出典:(12)Ritsuko Ehama 「Infuluence of Scalp Problem on Physical Properties of Hair and Their Prevention by Plant Extracts」)
頭皮マッサージも20代、30代の薄毛対策に効果的です。薄毛では頭皮の血行不良が大きな問題になります。髪の毛は体の末端に位置しているので、血流が悪くなると栄養が届きにくくなります。
頭皮マッサージをすることで頭皮の血流を改善し、髪の毛に十分な栄養を行き渡らせられます。
お風呂に入っているときやお風呂上がりにマッサージするのが特におすすめです。頭皮が柔らかくなり血行もよくなっているため、マッサージの効果がよりいっそう高まります。
ヘッドスパに行く
(出典:(13)Ritsuko Ehama 「Infuluence of Scalp Problem on Physical Properties of Hair and Their Prevention by Plant Extracts」)
頭皮の血行促進をする上で、ヘッドスパを利用するのも1つの手です。
専用の機材とプロの手による頭皮マッサージを受けられるため、自己流でするよりも高い効果が期待できます。
仕事帰りに立ち寄れば、リラクゼーション効果でストレス解消にもつながって一石二鳥です。
ストレスを解消する
(出典:(14)髪の健康を考える〜美しい髪で過ごすには〜)
ストレス解消は薄毛対策に欠かせない要素です。先に述べたように、過度のストレスは薄毛を進行させる大きな原因です。
仕事やプライベートでストレスが溜まりがちな方は、自分なりのストレス解消法を探してみてください。おすすめはジョギングやウォーキングなどの軽い運動です。体を動かすことで気分がスッキリしますし、血行促進の効果も同時に得られます。
食生活を改善する
(出典:(15)中村博範 「マウスのタンパク質栄養状態と体毛タンパク質合成の 関係について」)
20代、30代の男性は忙しい人が多く、外食やコンビニの食事などで食生活が乱れがちです。
健康な髪の毛を育てるためには実にさまざまな栄養素が必要になります。偏った食事をつづけていると薄毛は一向に改善してきません。
栄養素をバランスよく摂れるように、食事の品数を増やしたり、野菜やフルーツを積極的に食べるようにしたり、いろいろ工夫してみてください。
もしどうしても食事管理が難しい場合は、サプリメントなどを利用して不足分を補うことも検討してみましょう。
飲酒や喫煙をやめる
(出典:(16)禁煙科学 vol.9(06),2015.06, (17)e-ヘルスネット 「アルコールの消化管への影響」)
過度の飲酒や喫煙の習慣は、薄毛を進行させる原因です。お酒を飲むと体内でアルコールを分解するために、髪の材料であるアミノ酸が大量に消費されます。
またタバコに含まれるニコチンは血管を収縮させて血行不良につながります。体内でビタミンCを破壊してしまう点も問題です。
もし飲酒や喫煙の習慣がある場合は、やめるように努力するか、できるだけ控えめにするようにしてください。
育毛剤を使う
(出典:(18)男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版)
育毛剤を使ってみるのも、薄毛対策として有効です。
育毛剤には頭皮環境を整える成分や、髪の栄養になる成分などが配合されています。食事などとはまた違ったアプローチで薄毛対策ができるので、生活習慣の改善と並行して取り入れたいところです。
育毛剤は使い始めるのが早ければ早いほど効果を実感しやすくなります。薄毛が気になり始めたら「まだ20代、30代だし」などと考えずに、育毛剤の使用を前向きに考えてみましょう。
20代、30代の薄毛まとめ
20代、30代の薄毛の原因や効果的な対策法について紹介しました。
薄毛は少しずつ、しかし着実に進行していくものです。どこかに薄毛の原因が隠れているので、放っておいても改善することはまずありません。20代、30代のうちから薄毛対策をしっかり始めておけば、かなりの高確率で将来の薄毛を防ぐことが可能です。
後になってから後悔しないためにも、本記事で紹介した内容をぜひ参考にして、20代、30代の今のうちに早めの薄毛対策をスタートしてください。
文献
1).2).3).4). 日本香粧品学会誌 Vol. 42, No. 4, pp. 270–279 (2018)
5). J.Soc.Cosmet.Chem.Jpn. 特集総説47(1) 3-8(2013)
6). 生体医工学 46(2):169-176 解説特集:睡眠の生体計測技術
7).14). 植木理恵:都民公開 講座アンチエイジング 順天堂醫事雑誌.2013:59 :P. 327〜330
8).15). 川崎医療福祉学会誌 Vol. 22 No. 2 2013 200 − 207
9). 色材協会誌/62 巻 (1989) 10 号/ P. 615-623
10). J. Son. Cosmet. Chem. Jpn. 特集総説48(4): 2014 / P.271~P.277
11).18). 日皮会誌:127(13),2763-2777,2017(平成 29)P.2763~2777
12).13). J. Son. Cosmet. Chem. Jpn. 52(1) : 16-23
16). 禁煙科学 9巻(2015)-06 P.1~P.14
17). e-ヘルスネット > 飲酒 > アルコールによる健康障害 > アルコールの消化管への影響