監修者紹介
- 佐藤明男
- 東京メモリアルクリニック理事長
さとう美容クリニック院長, 北里大学医学部客員教授, 日本形成外科学会専攻医, 日本臨床毛髪学会理事, 日本先進医師会特定認定再生医療委員会委員長, SKIファーマ株式会社副社長
頭髪に関する内科治療と外科治療まで幅広く実践し、毛髪研究、教育も積極的に行っている。
薄毛が気になる方は、カウンセリングを受けてみるのがおすすめです。無料で薄毛のカウンセリングを受けられるクリニックも多く、薄毛の原因や対処法、治療にかかる期間や費用を相談できるためです。
しかしAGA治療が受けられるクリニックは数多くあるため、どんな基準で選べばよいか悩んでしまうかもしれません。
そこで本記事ではクリニックを選ぶ際に確認すべき8つのポイントや、実際のカウンセリングから治療の流れについて解説します。ぜひ本記事を参考に、自分にあったクリニックを見つけてください。
目次
薄毛のカウンセリングを受ける際のクリニックの選び方
医療機関で治療を受ける
薄毛のカウンセリングを受けるときには、必ず医療機関を受診するようにしましょう。AGAの治療には医療的なアプローチが欠かせないからです。
一般的に「発毛サロン」と呼ばれる場所は、頭皮のケアを専門にしています。頭皮環境の改善も大切ですが、AGA治療は頭皮よりも根本の問題を解決しなければなりません。クリニックを選ぶときには、医療機関であるかどうかを確かめてから受診してください。
毛髪治療専門のクリニックに行く
AGA治療は、毛髪治療専門のクリニックでないと効果的な処置が受けられないこともあります。一般的な皮膚科のクリニックでも治療してもらえますが、専門医のほうが経験や症例数が多く、効果的な薬剤の選択にも長けています。できるだけ毛髪治療専門のクリニックを探して受診しましょう。
丁寧なカウンセリングを受けられるか?
毛髪治療専門のクリニックでもドクターの対応が粗雑であった場合には、自分の悩みやライフスタイルにフィットした治療が受けられないことがあります。ドクターが親身になって話を聞いてくれるクリニックを受診するといいでしょう。
リスクの説明をきちんとしてもらえるか
受ける治療や使う薬剤によっては副作用のリスクがあります。AGA治療では毛髪の根本に働きかける薬を使うこともあるため、リスクをしっかり説明してくれるクリニックを選ぶのがよいでしょう。
スタッフが雑な対応をしていないか
ドクターが丁寧であっても、スタッフに嫌な印象を抱いてしまうと長く通う気にならないものです。通うのがストレスになってしまうと発毛治療と前向きに付き合うのが難しいため、スタッフの身だしなみや対応など細かな点にも注目しましょう。
治療実績はあるか
運営歴が長いクリニックや、治療実績を多く公開しているクリニックから選ぶのがおすすめです。治療実績のあるクリニックでは自分と同じような症例の処置経験もあるため、より効果的な治療が受けられる可能性が高くなります。
適切な料金か
経済的な負担が大きくなりすぎると、治療が完了するまで通い続けるのが困難になってしまうかもしれません。わかりやすい料金体系や、詳細な内訳を公開してくれるクリニックから選ぶとよいでしょう。
家から通いやすいか
疲れたときでも悪天候のときでも通い続けるのが肝心であるため、家から通いやすい場所にあるかどうかも大切なポイントです。
一般的な薄毛カウンセリング・治療の流れ
受付、問診表の記入
受付で予約を確認すると、問診票が手渡されます。問診票には抜け毛の量や薄毛の現状、その他の必要事項を記入するのが一般的です。
問診票を提出したあとは血圧を測定します。無料カウンセリングであっても、問診票記入時にわからないことは何でもスタッフに相談できます。
専門医による問診、カウンセリング
問診票をもとに薄毛治療の専門医が問診を行います。頭髪や頭皮の状態だけでなく身体全体の健康状態をチェックします。
その後は専門のカウンセラーによる頭皮チェックです。カウンセリング中は頭髪に関して気になることを何でも相談でき、治療方法や使用する薬剤、治療にかかる予算についての説明も聞けます。
治療開始
カウンセリングや問診の内容に納得したら治療開始です。初診では発毛効果を確認するために頭部の写真撮影を行い、血液検査をして使用する薬剤が問題ないかを確かめます。初めて処方される薬に関しては説明が受けられますので、注意深く聞きましょう。
通院
1か月から2か月に1度の頻度で通院する場合が多いようです。通院時には頭部撮影で発毛の効果を確かめて、症状にあった薬を処方してもらえます。
AGAの原因、治療法
原因は男性ホルモンの一種
(出典:(1)男性型脱毛 その特性と未来像 Androgenic alopecia Its characteristics and perspectives)
AGAには男性ホルモンの一種であるテストステロンが関係しています。テストステロンは頭皮にある5α還元酵素と結びつくと、ジヒドロテストステロン(DHT)へと変化します。生成されたジヒドロテストステロンは、毛髪の正常な成長を阻害する働きがある悪性の男性ホルモンです。
通常の頭髪は成長が始まると2年から6年のあいだ毛球が太く成長し、太く健康的な髪の毛が育っていきます。やがて成長しきると毛球が退縮していき、約4か月かけて脱毛する、というサイクルを繰り返します。これが「正常なヘアサイクル」です。
しかしジヒドロテストステロンの影響を受けた毛球は、数か月から1年ほどしか成長せず、毛球が退縮して脱毛の期間に入ってしまうため、毛髪が十分に成長する前に抜け落ちるようになります。これが「AGAヘアサイクル」です。
AGAによる薄毛はDHTの生成が原因であるため、DHTの生成を抑えることが治療の第一歩となります。
一般的な治療法は投薬治療
AGAの治療には一般的に投薬治療が用いられます。「フィナステリド」という脱毛抑制効果のある成分と、「ミノキシジル」という発毛促進効果がある成分の2種類が配合された薬を用いるのが一般的です。
どうしても見た目が気になる場合には植毛などの外科的なアプローチも可能ですが、費用面での負担が大きくなるため、投薬治療から始めるのが一般的になっています。
薄毛カウンセリング・治療のQ&A
カウンセリングのみを受けることはできますか?
ほとんどのクリニックでは、無料のカウンセリングだけ受診することも可能です。
AGA治療の経験がない方は治療方法や費用について不安を抱いていることも多いため、本格的な治療に入る前にカウンセリングを無料実施しているクリニックが多いようです。
カウンセリングではAGAであるかどうかの診断が受けられ、治療にかかる期間や費用、使用する薬剤に関する説明を受けられます。
もちろんカウンセリングを受診して自分には合わないと感じられた場合は、通院しないという決断を下すことも可能なため、不安に感じられる場合は無料カウンセリングを予約してみるのがおすすめです。
治療期間はどのくらいですか?
発毛には個人差があるため一概には言えませんが、一般的には3か月から半年で発毛を実感する方が多いようです。
治療終了時期は個人で決められますが、服薬をやめると脱毛抑制効果や発毛促進効果がなくなってしまうため、薄毛が再び進行するようになります。
例えば「1年間は通院して効果を見る」など、一定の期間を定めて効果的な治療を受けられるか見極めるのがよいでしょう。
薬の副作用はありますか?
副作用が出ることはまれです。しかし内用薬の服薬により以下のような副作用が生じることもあります。
・勃起機能不全
・性欲減退
・肝機能障害
また外用薬によっては頭皮の湿疹やかぶれ、かゆみなどが生じることもあります。
ただし臨床試験の結果によると、副作用が生じる可能性は1%から2%程度であるそうです。また重篤な副作用が生じたという報告もないため、過度に神経質になる必要はありません。
万が一副作用が生じた場合はすぐに医師に相談しましょう。
まとめ
本記事ではAGA治療を受けるクリニックを選ぶ際にチェックすべき8つのポイントを紹介しました。
丁寧なカウンセリングが受けられる毛髪治療専門の医療機関を受診することが大切です。月1回程度の通院であるものの、1年ほどを目安に通うのが一般的ですので、通いやすい雰囲気や立地であることも大切です。
無料カウンセリングのみの受診もできるため、気になる方はぜひ一度クリニックに足を運んでみてください。
文献
監修者紹介
- 佐藤明男
- 東京メモリアルクリニック理事長
■ プロフィール
1957年新潟県生まれ。北里大学医学部卒業。
1998年、厚生省(当時) 高度先進医療推進事業でオックスフォード大学医学部客員研究員として英国に国費留学し、帰国後、東京メモリアルクリニック・平山副院長を経て院長に就任。医療法人TMC理事長を兼任。これまで10,000人を超えるAGA(男性型脱毛症)患者を治療してきた実績を持つ、頭髪治療の第一人者。
■論文・出版情報
2007年 『医療的育毛革命』
2009年 『なぜグリーン車にはハゲが多いのか』