薄毛の原因・症状・対策は？ : Column

薄毛の主な原因

薄毛はさまざまな原因で起こります。複数の要因が絡みあって薄毛を招く場合もあります。
薄毛になる主な原因は次の6つです。

男性ホルモン（DHT）の影響

男性ホルモンのテストステロンは、体内にある酵素の働きによりジヒドロテストステロン (DHT) に変化します。
DHTは頭部の毛母細胞の増殖を抑える働きがあるため、頭髪の成長を阻害して薄毛を招くと考えられます。

遺伝

薄毛の原因となる男性ホルモンの働き方は、遺伝因子によって大きく異なるとされています。薄毛の血縁者が多い人は、薄毛になる可能性が高いです。

加齢

年齢を重ねると、髪の毛は細くやわらかくなる傾向が見られます。加齢で毛髪のコシが低下することで、薄毛を実感しやすくなります。

ストレス

ストレスは自律神経のバランスを乱し、交感神経を優位にします。交感神経が活性化すると血管の収縮が進み、血流が悪化して髪の成長を阻害します。

生活習慣の乱れ

食生活が乱れて栄養バランスが傾くと、髪の成長に必要な栄養素が不足する可能性があります。
また睡眠中には成長ホルモンの分泌が進むため、睡眠時間が不足すれば毛髪の成長を阻害し、薄毛につながります。

病気

薄毛を招く代表的な病気としては、男性型脱毛症 (AGA) や円形脱毛症が挙げられます。

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参考文献一覧

1). 2). 7). 日皮会誌:127 (13), 2017 (平成29) P.2763-2777

3). 日本化粧品技術者会誌 50巻 (2016) 1号 p.2-7

4). バイオメカニズム学会誌 21巻 (1997) 2号

5). MSDマニュアル

6). 24). 生体医工学 46巻 (2008) 2号 p.169-176

8). 日本皮膚科学会雑誌 127巻 (2017) 13号 p.2741-2762

薄毛の症状と確認する方法

病気が原因で起こる薄毛の症状や、薄毛の進行度合いを確認する方法について解説します。

薄毛の症状種類

薄毛の症状が起こる病気の例としては、次のものが挙げられます。

壮年性脱毛症

壮年性脱毛症とは壮年期に起こる薄毛や脱毛を指し、前頭部や頭頂部の毛髪が薄くなる症状が一般的です。毛周期を繰り返すうちに起こる軟毛化が深く関わっているといわれています。

円形脱毛症

円形脱毛症は類円形に毛が抜け落ちる症状が特徴的です。頭部の複数箇所や頭部以外の体毛が抜け落ちることもあります。
円形脱毛症は自己免疫疾患によって毛包細胞がダメージを受けることが原因といわれています。

脂漏性皮膚炎

脂漏性皮膚炎は、頭部や顔などの皮脂分泌が活発な部位に、脂っぽいかさぶたやフケ、炎症、かゆみなどの症状が現れます。
皮脂分泌の異常や皮膚常在菌であるマラセチア菌の異常繁殖、ストレスが主な原因です。

びまん性脱毛症

びまん性脱毛症では頭部の広い範囲に薄毛や脱毛の症状が現れます。
毛周期の乱れから抜け毛が増えたり、成長期に入る毛が減ったりすることで、髪の毛が全体的に薄くなったように感じられます。

薄毛確認チェックリスト

薄毛のリスクや現時点での薄毛の進行度合いが知りたい人は、以下のチェックリストを確認してみてください。

• 以前より抜け毛が目立つようになった
• 髪が全体的にボリュームダウンした
• 頭頂部の髪が薄くなった
• おでこが広くなった
• 髪の毛にコシやハリがなくなった
• 頭皮に脂っぽいフケが出ることがある
• 頭皮にかゆみを感じやすい
• 生活習慣が乱れている
• 常にストレスを抱えている
• 血縁者に薄毛の人がいる

該当する項目が多いほど薄毛のリスクが高いといえます。多くの項目に当てはまる人は注意しましょう。

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参考文献一覧

9). 日本臨床皮膚科医会雑誌 24巻 (2007) 3号 p.221-228

10). 日本皮膚科学会雑誌 127巻 (2017) 13号 p.2741-2762

11). 日本医真菌学会雑誌 40巻 (1999) 2号

12). 29). 日本香粧品学会誌 42巻 (2018) 4号 p.270-279

13). MSDマニュアル

薄毛治療法の種類と効果

クリニックで行う薄毛治療としては、主に次の4つの治療法が挙げられます。

外用薬

ミノキシジル外用薬は毛包細胞の活性化や血流改善効果が期待できるとされ、薄毛治療に広く活用されます。アデノシンの外用薬も有効です。
円形脱毛症の場合は、SADBE(squaric acid dibutylester)やDPCP(Diphenylcyclopropenone)を頭皮に塗布する局所免疫療法や、ステロイド外用薬やカルプロニウム塩化物の外用薬を選択することもあります。

内服薬

DHTの生成を抑制するフィナステリド内服薬やデュタステリド内服薬は、AGA治療に役立てられます。
円形脱毛症にはステロイド内服薬や抗ヒスタミン内服薬、セファランチン内服薬が使用されます。グリチルリチン・グリシン・メチオニン配合錠を利用した内服治療も可能です。

光治療

LED照射をはじめとした光治療を行うこともあります。
ただし国内ではまだ認可されていない治療法で、使用される光源の種類・波長・出力についての適切な基準も決まっていません。

再生医療

薄毛に対する再生医療の例としては、多血小板血しょう (PRP) がもつ細胞の再生力を利用した治療が挙げられます。
ただしPRPは完全に機能を失った毛包の再生効果は期待できません。また有効性や安全性に関するエビデンスが不十分なため、日本皮膚科学会が制定するガイドラインでは非推奨とされています。

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参考文献一覧

14). 17). 19). 21). 日皮会誌:127 (13), 2017 (平成29) P.2763-2777

15). 日本薬理学雑誌 (Folia Pharmacol. Jpn.) 119，167-174 (2002)

16). 18). 日本皮膚科学会雑誌 127巻 (2017) 13号 p.2741-2762

20). 聖マリアンナ医科大学雑誌 46巻 (2018) 3号 P.137-145

薄毛対策 (ケア) の種類と効果

自宅で行う薄毛のケア方法としては、主に次の4つの方法が挙げられます。

血行を促進する

血流が促進されると、髪の成長に欠かせない栄養分が頭部に行き渡りやすくなります。頭皮のマッサージや適度な運動を積極的に活用しましょう。

生活習慣を見なおす

夜間に熟睡することで成長ホルモンがしっかり分泌されれば、頭皮環境を健やかに整えられます。運動で睡眠の質を改善可能です。
またタバコに含まれるニコチンには血管収縮作用があることから、禁煙すれば血流が改善され毛髪に栄養分が行き届きやすくなります。
乱れた食生活を送っている人は、サプリメントの利用も有効です。

ヘアケアに配慮する

適切なシャンプーで頭皮を清潔に保てば、雑菌やかゆみなどの薄毛につながる皮膚トラブルを抑えられます。
シャンプーの頻度やすすぎのお湯の温度を見なおし、アミノ酸系やベタイン系など髪にやさしいシャンプー剤の利用を検討しましょう。

ストレス対策を行う

ストレスは毛周期に悪影響をおよぼすといわれているため、適度に発散するのが大切です。
ストレスの解消には休養や睡眠が有効です。オフタイムに趣味を楽しむのもよいでしょう。涙は副交感神経を優位にすることでストレス解消に役立つとされるため、泣ける映画を鑑賞するのもおすすめです。

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参考文献一覧

22). 日本化粧品技術者会誌 48巻 (2014) 2号 p.97-103

23). 日本温泉気候物理医学会雑誌 78巻 (2015) 4号 p.353-362

24). 生体医工学 46巻 (2008) 2号 p.169-176

25). 大正大學研究紀要 第106輯

26). e-ヘルスネット 厚生労働省

27). E-ヘルスネット 厚生労働省

28). 33). 日本香粧品学会誌 41巻 (2017) 1号 p.15?22

29). 日本香粧品学会誌 42巻 (2018) 4号 p.270-279

30). 日本油化学会誌 42巻 (1993) 10号 p.768-774

31). 川崎医療福祉学会誌 28巻 (2018) 1号 p.125-133

32). 日本薬理学雑誌 129巻 (2007) 2号 p.99-103

薄毛対策 (ケア) でよくある質問

薄毛に悩む人が抱きがちなよくある質問は以下の通りです。

スタイリング剤を使うと薄毛になる？

スタイリング剤が薄毛を招くエビデンスはありません。
しかしスタイリング剤が頭部に残った状態が続くと、油分が酸化してさまざまな頭皮トラブルにつながります。スタイリング剤を使用する人は、シャンプー時に洗い残しが出ないように意識しましょう。

ダイエットで薄毛になるって本当？

無理な食事制限をすると頭皮環境が悪化し、薄毛になるかもしれません。
なかでも髪の主成分であるケラチンや、毛髪の生成をサポートするビタミン・ミネラルの摂取は重要です。ケラチンの生成に欠かせない亜鉛や、不足すると抜け毛につながるケイ素も積極的な摂取が推奨されます。

紫外線を浴びると薄毛になる？

紫外線には毛細血管の機能を低下させる作用があります。毛母細胞へ栄養分を届ける働きが低下すれば、毛髪が育ちにくくなるでしょう。
帽子や紫外線防止スプレーなどで対策するのがおすすめです。

飲酒は髪の健康を損なう？

薄毛が気になる人はアルコールの飲みすぎに注意が必要です。アルコールの過剰摂取は亜鉛欠乏症を招き、脱毛につながるといわれています。

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参考文献一覧

33). 日本香粧品学会誌 41巻 (2017) 1号 p.15?22

34). 国際抗老化再生医療学会雑誌, 2018; 1: 40-42

35). 粉砕 61巻 (2018) p.84-87

36). 厚生労働省eJIM